絶滅したはずの二ホンオオカミはまだ生きている?|プチ鹿島の余計な下世話!
「岳人」3月号の「山の謎」という特集が気になった。「ニホンオオカミを探しに山へ」という記事が読みたかったからだ。ほかにも「伝説の埋蔵金を巡る山旅」「みみずく山のUFO」「山に棲む妖怪」などがある。取り寄せて読んでみたら面白い。
■絶滅したはずの”二ホンオオカミ”の目撃談
ニホンオオカミは111年前に絶滅したとされるが、早稲田大学探検部のOBが5年前に「ニホンオオカミ倶楽部」を結成して秩父地域で調査を続けてきた。最近は三重県松阪市の飯高、飯南両町の山中を調査しているのだという。その理由と言うのが「三重にいる知り合いが、シカの不審死体を最近よく見るらしい」という情報から。「イヌ科の動物以外に考えられない襲われ方」で、死体発見の直前には、茂みの中を猛スピードで走り抜ける1メートルほどの「黒い影」が見えたという。その影を見た人は甲斐犬を連れていたのだけど、普段はイノシシやシカを見れば一目散に飛びかかってゆくのに、このとき甲斐犬はじっとその黒い影の背中を見つめるだけだった。しかもこの地域は絶滅前のニホンオオカミが最後に捕獲された場所に隣接しているのだ……。
ああ、もうたまらない。『ドラえもん』第2巻の「オオカミ一家」を読んでからのオオカミロマンがここにある。オオカミなんてもういないとジャイアンらに馬鹿にされたのび太は探しにゆくことを宣言する。「21世紀にはちゃんとオオカミのむれがいるんだ。ということは、20世紀にも生き残っているということさ」というドラえもんの力強い言葉とともに。そしてのび太は本当に「出会ってしまう」。
実は「岳人」の今回の記事でも「現代ののび太」が紹介されている。「1996年に埼玉県秩父地方の林道上で八木博が、また2000年には大分県祖母山系の登山口で西田智が、それらしき動物を写真に収め、それがニホンオオカミか否かをめぐって、学者を含めて一大論争が沸き起こっている」(「なぜ終わらない?オオカミ論争」)
出た、八木さん! 通称オオカミおじさん。私はこのおじさんに4年前に「出会ってしまった」のだ。
あの年、たまたまNHK・ETV特集の「見狼記 ~神獣ニホンオオカミ~」という番組をみたら、オオカミらしき獣を目撃して以来、もう一度出会う悲願のために情熱を燃やし続ける八木さんが描かれていた。オオカミはいるのか? ではなく、この地域に伝わるオオカミ信仰の話と八木さんに焦点を合わせていた。
この番組のことを各方面でしゃべっていたら、オオカミを祀る三峯神社がいわゆるパワースポットとしてすごいらしいことがわかったり、ついにはその三峯神社へツアーで行くことにもなった。地元の八木橋百貨店さんの仕掛けにより、オオカミおじさん(八木さん)とも会え、トークイベントまで招かれた。
八木さんはホントにオオカミのことしか興味がない人だった。こちらの話をあまり聞いていない。ならばと、ETV特集で紹介された八木さんが撮影した写真のことを尋ねると目を輝かせ、すぐにアルバムを広げてくれたのだ。そして、「どの写真が欲しい?」。
「オオカミ生写真」をプレゼントしてくれたのであった。
私はすっかりニホンオオカミについて詳しくなってしまった。今回の「岳人」でも書かれていたが、オオカミか野犬か判断するためには、実は頭蓋骨の形でしかわからないという。つまり、捕まえて頭蓋骨を検証しないかぎり、写真だけでは専門家でもわからないのだ(ニホンオオカミの映像や、はく製自体が少ないため)。
今もニホンオオカミが生きているかどうかはわからない。でも今もニホンオオカミを全力で探しているおじさんがいることは確かだった。我々はオオカミおじさんから大事なことを学んだ。周りを忘れて自分に夢中な人ってなんて面白いんだ、ということを。
「オオカミを探すのび太」は実在する。
Written by プチ鹿島
男はみんなオオカミ。