「米国人は東京五輪を見ないかもしれない」日米首脳会談で垣間見えた落とし穴

バイデン米大統領は16日に行われた菅義偉首相との日米首脳会談で、7月23日に開幕予定の東京オリンピック・パラリンピックへの米国選手団派遣を明言しなかった。対中国問題などで菅首相から全面的な支持を取り付けたバイデン氏だが、東京五輪に関しては「安全に開催できるか科学に基づき判断すべきだ」との従来姿勢を堅持し、五輪開催に対する無条件の支持は与えなかった。

菅氏は会談後の共同記者会見で、「世界の団結の象徴として(東京五輪)開催を実現する決意を会談で伝えた」と明かした。バイデン氏はこの「決意」については支持するとしたものの、選手団の派遣など、具体的な対応は示さなかった。

大会関係者は「日本政府としては、この機に米国から少しでも踏み込んだ言葉が欲しかった」はずだと語る。

「周知のとおり、五輪の実質最大のスポンサーは米放送大手のNBCで、放映権料に数十億ドルを投じている。一義的には、米国でどれだけの視聴率を取れるかがNBCの『五輪ビジネス』の成否を左右する。しかし仮に米国選手団が東京に来ないとなったら、大多数の米国人は五輪に関心すら示さないでしょう。そうなれば、NBCが国際オリンピック委員会に対して『中止』を要求しかねない」

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記者会見では外信の記者から出た「専門家が(コロナ対応の)準備できていないとしている中で開催推進は無責任ではないのか」とする質問を、菅氏がスルーする場面もあった。次期総選挙に向け、日米間の強固な結び付きをアピールできた菅氏だが、五輪に関してはむしろ苦心が深まった形と言えるかもしれない。