「お笑い」が「美談」に昇華する現代 林家三平『笑点』卒業はその対極にあるのでは│プチ鹿島
あーでもないこーでもないと俎上に上げられていろいろ言われるまでが演者の務めなのかもしれない。なのでそのまんまのツッコミも範疇かもしれないが、そうなると対極に出てくるのは何か。私は「美談」だと痛感している。M-1でも「ああ、面白かった」から「なぜ面白いのか」までのお笑い語りは私も大好きだが、度が過ぎるといつの間にか「美談」でまとめられているケースが多い。お笑いなのに。
そう考えると林家三平さんは「美談」の対極にいた存在なのかもしれない。名門の御曹司だとか抜てきだとか本当の実力はどうなのかとか、視聴者がいちいちうっとりできないパーツを持っていたのだろう。でもそれこそ半信半疑のファンタジーあふれる存在でもあったという解釈もできる。
個人的にはモノの見方として「半信半疑」の状態ってむしろありがたい。ご褒美だと思っています。だって簡単に「回答」が出ないほうが長く楽しめるから。
あ、「笑点」は早く回答を出さないとダメなのか……(文＠プチ鹿島 連載「余計な下世話」)