新入社員の皆さん 今飲んでいるのは「ビール」でしょうか 居酒屋で「とりあえずビール」が変わった日│中川淳一郎

そういった意味では、「発泡酒」「第3のビール」というものは、若者にとっては、中高年にとっては「ビール」と同じようなものなのであり、我々と同様に「若き日に慣れ親しんだ味」となっているのであろう。

しかしながら、財務省もエゲつない。元々、ビール(麦芽率66.6%以上)の税率を高くしようとして酒税を決めていたところ、その麦芽率を低くして、「ビールっぽくする」商品を開発したメーカーの努力を無にしてしまう方策に打って出た。元々発泡酒と新ジャンルは「ビールのまがいもの」的な扱いをされてきたが、前出の2026年の税率共通化で果たしてどうなるのか。「同じ値段だったらビールの方がやっぱりウマいよね」となるのか、それとも「やっぱり新ジャンルがウマいよね」となるのか、2026年以降の3ジャンルの売れ行きには注目である。

結局、新ジャンルがよく売れているため、税率を高めて税収を上げようと考える財務省の姑息な手段であり、庶民からすれば「遺憾砲」(「遺憾の意」を表明すること)をぶっ放したくなるではないか。

しかしながら、ビールについて良かったことがある。2000年頃まで、居酒屋に行くと「とりあえずビール」的な雰囲気があったが、今ではその場を仕切る人が「ビール以外の人!」と手を挙げさせ、各自の飲みたいものを頼めるような合理性が出てきた。

そして「オレの酒が飲めねぇのか!」といった「アルハラ」も今やまったく見かけなくなった。そういった意味では、平成末期のアルコール文化の大改革は実に素晴らしいものだったといえよう。(文@中川淳一郎 連載「俺の平成史」)