平成・昭和のライブイベント文化の衰退が数字で如実に コロナ前の野球観客数のピークは1166万人以上! 

これを野球人気の情報と考えるのは違う。かつては巨人戦が毎日地上波で放送されていたが、視聴率の低下から放送回数は激減。もちろん神戸のサンテレビのように阪神戦を中継する局はあるし、今はDAZNや各チームのファンクラブが配信する中継チャンネルなどはあるものの、ライブで楽しむ需要が増えた。

音楽フェスや海外アーティストのコンサート、Jリーグなども含め、平成はライブイベントが花盛りになった時代といえよう。それは2010年代になってより顕著になった。2000年代は神宮外苑のあたりを夕方に歩いていて、神宮球場のカクテルライトが点いていたら、「きれいな風景の屋外ビアガーデンがありますね」「ちょっとビールでも飲んでいきますか」と、外野自由席の一番安い券を買い、外野席で野球を特に見るでもなく涼しい風が吹き、緑色のフィールドを見ながらビールを簡単に飲むことができた。

その後、ライブ人気は爆発し、外野自由席の券を当日買うことも困難になった。それはそれで民放での中継回数が激減し、放映権料が減ったであろうNPBにとっては良いことであろうがもはやプロ野球は気軽にフラりと入れる空間ではなくなった。

かくしてコアファンが行列を作って自由席のチケットを買うなど、ライブイベントは過熱を増していったが、コロナ以降、無観客試合や観客数制限をするようになった。音楽フェスも続々と中止に追い込まれ、平成の時代に花開いたライブイベントがこの2年間で後退した感がある。

賃金が上がらぬ日本は益々衰退国となり、もはや海外の人気アーティストやサッカーのビッグクラブが来ない国になるのかもな……といった不安もあるが、興行主におかれてはなんとか音楽やスポーツ、そして落語や歌舞伎、相撲といった文化を守っていただきたいものである。(文@中川淳一郎 連載「俺の平成史」)