「本丸」を守り切った旧ジャニーズ事務所と真実を聞き出せず拍手するメディアの惨状

この会見で被害者は納得したのだろうか。

「何の為の記者会見だったかのか」–。

10月2日14時から開かれた、旧ジャニーズ事務所(以後スマイルアップとも表記)の会見を見ての思いです。

まず、この会見は、前提として9月7日のジャニーズ事務所(当時)の会見を受けてのものになります。ここでは4時間による長時間の記者からの応答で終始されました。それではラチがあかないという事で、2日に改めて会見をする。そこで生まれ変わったジャニーズ事務所をメディア及び被害者、ファンに披露するというのが会見のテーマだったはずです。

そして、そもそもこの会見をさせたのは間接的にはBBC。直接的には8月29日に公表された「外部専門家による再発防止チーム」の報告書の痛烈さによるものです。この報告書では数百人の被害者がおり、それはジャニー喜多川氏の性加害によるもの。また、見て見ぬふりをした旧ジャニーズ事務所幹部たちの責任が明記されてあります。

この会見は「世界に類を見ない性加害事件」を扱うものです。単なる芸能人の不倫会見などではないのです。後述する拍手をした記者、ライター、リポーター、そして壇上の東山紀之新社長、井ノ原快彦副社長らは事の重大さを認識しているのかはなはだ疑問です。

世界的犯罪。ジャニーズ事件がどれほどれものなのか、他の世界的性加害事件を羅列してみます。

・アメリカの大物映画プロデューサーの「ハーベイ・ワインシュタイン事件」。ワインシュタイン服役囚は女優に数10年にわたって性加害を加え、米ロサンゼルスの裁判所に禁錮16年の刑を言い渡され、禁錮23年に加えられました。

・イギリスの大物司会者ジミー・サビルは死後、BBCの告発で500人近くの性加害を与えた事が明らかになり、爵位をはく奪されました。

・アメリカ「ボストン・グローブ紙」はカトリック教会で数十人の神父の性加害の事実を公表し、ビューリッツア賞受賞。「スポット・ライト」として映画化。

そして、日本です。
ジャニーズ事務所の性加害がBBC「捕食者」(タイトル名)によって、世界中に知られる事になりました。再発防止チームの報告書によると、ジャニー喜多川氏から被害のあった国連の人権チームが調査するほどの事件になった訳です。約50年にわたって数百人の未成年男子に性加害をしていました。

再度、外部専門家による再発防止チームの報告書のジャニー喜多川氏の「性加害」(P19)を見てみます。

これが「基」なのです。

「1950 年代、ジャニー氏が小学校低学年男児であった被害者の自宅に泊まった際に、あるいは遊びに来た同級生の男を自宅に送る車の中で、口腔性交などの性加害が繰り返された(ジャニー氏 20 歳頃)」

そしてP21「性加害の概要」(ア)の最後にはこう結ばれています。
「ジャニー氏は、古くは 1950 年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所においては、1970 年代前半から 2010 年代半ばまでの間、多数のジャニーズ Jr.に対し、上記のような性加害を長期間にわたり繰り返していたことが認められる」

実姉メリー喜多川氏はこの性加害の関わりには、
「メリー氏はジャニー氏の性加害を認識していたと推認するのが合理的かつ自然であると考える」(報告書。P26 (4) 性加害に関する認識 (ア)より)と明記。

また前代表取締役藤島ジュリー景子氏の関与には、P28「性加害の認識」(イ)よると
「ジュリー氏は、取締役就任時頃には、ジャニー氏によるジャニーズ Jr.に対する性加害の疑惑について認識していたと認められる。」とあります。

つまり「知っていた」のです。

更に黒幕とも言われる元代表取締役白波瀬傑氏は、P28「性加害の認識」(ウ)によると、「ジャニー氏の性加害が事実であることを認めている。」と報告されています。

この報告書を素直に読めば「全員知っていた」のです。これを9月7日の会見で旧ジャニーズ事務所側は報告書の記載を認めた訳です。今回のコトの経緯です。