凶悪犯はなぜ生み出されるのか そこにはある「決まった法則」があった

実際に、アメリカに収監中のギャング、シリアルキラーと電話などをしている阿部憲仁教授。

赤ちゃんの時期の過ごし方は大切だ。 0〜3歳にあたる感情発達の『臨界期』。この時期に、どのような家庭環境と家庭内力学が彼らに関係していたのか?それをつぶさに探り、凶悪犯罪者を生み出す真理を解き明かした Dr.クリミナル・国際社会病理学者の阿部憲仁(桐蔭横浜大學法学部教授/府中刑務所篤志面接員)先生の新著「幼少期の家庭環境から読み解く 凶悪犯プロファイル」 (駒草出版)を読み、凶悪犯の卵が今の世の中には少なくないことを痛感した。

筆者の知人からの相談を思い出してみても「姪がホストを刺しそうです。ホストクラブで暴れた動画を私に送ってきたんです。このままでは事件を起こすと思います」 「息子が学校でナイフを振り回して暴れたので 措置入院しています」 「SNSで私がフォローしている人に彼氏が圧力をかけて、私を監視するんです。病的な嫉妬心が怖いです。でも、別れるって言ったら、殺されそうになるから」

ヤバい相手に関わってしまった以上、なぜヤバい人になってしまったのか。どう対応したら良いのか。を考える上でヒントとなる書籍だ。  阿部教授は、府中刑務所篤志面接員の他に、日米の凶悪犯罪者と文通、面会を重ねて、多くの事例を把握している。

そして、元予備校カリスマ講師という経歴も持つ阿部教授は、凶悪犯たちとの実際のやり取りを通し、「凶悪犯罪」と「生い立ち」との起因関係を細かくパターン分けして分析。 著者だけが持つ、全米凶悪犯直筆のイラストや手紙、写真も複数掲載しているので理解が深まる。 「母親の心理的抑圧からの解放による女性への怒りの爆発」、「幼いころの性的虐待による女性たちへの怒りと復讐」、「親の過剰期待+感情ネグレクトによる社会性の完全否定」 等のパターンは、日本人に増えているように感じる。

親の愛情が不十分だった幼少期を過ごした人は、祖父母等から愛の補充がされない限り、 攻撃性、異常な執着心を持って対人関係で不協和音を起こしてしまう。その先には凶悪犯罪が ある。  そんな悲劇を回避するためには、少子化対策よりも、生まれた子の幼少期の大切さについて理解を深める必要があると思う。(文・写真@霜月潤一郎)