二階元幹事長に「バカ野郎」と言われた記者はナゼ黙っていたのか│プチ鹿島

今回は「メディア論」のほか「飯塚事件」などの重厚な話で硬軟織り交ぜた話が聞けたと思います。

先週木曜にジャーナリストの青木理さん、TABLO編集長の久田将義さん、プチ鹿島の3人でトークライブをおこないました。好評すぎて第19弾。当初は青木さん久田さんと3人で時事ネタを下世話に語るライブだったのだが、最近は「メディア論」などに興味がある方にも評判が良い。

今回の内容をいくつか挙げてみると、まず自民党の二階俊博元幹事長の「ばかやろう」会見について。二階氏の会見内容もさることながら、記者が二階氏を「先生」と呼んでいたことが私は気持ち悪かった。この点を私は青木さん、久田さんに聞いてみたのだ。

久田さんは編集者として政治家とやりとりした際に「『先生』と呼んだことはない。さん付けで十分です」と言っていた。さすが。ただ「野中広務さんだけは迫力と愛嬌があったので先生と言ったことがある」と。人は迫力と愛嬌を目の前にすると先生と呼んでしまうのか?

青木さんの経験では、政治記者と政治家の関係を見ていると、その政治家がいちばん地位が高かったときの肩書きで呼んでいたという。 「総理」とか「議長」とか。そんなノリなら「先生」と呼んでしまうのではないかと。

さらに番記者エピソードを披露してくれた。真面目で朴訥だった知り合いの記者が「鈴木宗男番」になった。久しぶりに会うと彼は扇子を広げて「いやー、青木くん」とムネオそっくりの言動になっていたという。取材者に近すぎて自分もそのつもりになってしまったらしい。警察と暴力団の関係でも似たようなケースがあるという。

そして今回もメディア論になった。記者は何を飯のタネにしているのか? それは「情報」だ。情報は自分しか知らないものほど価値が上がる。特ダネになることもある。しかし厄介なことに情報は権力を持っている人に集まるもの。有力な政治家にはありとあらゆる情報が集まってくる。それらを考えると政治家に会見で「ばかやろう」と言われても何も言えない構図も見えてくる。

大事なのは、情報を取ることが大事なメディアの本質と、それでも権力者をチェックしなくちゃいけないメディアの役割と、歯を食いしばってでもおかしいことはおかしいと言わなくちゃいけないというバランス。これは言うは易く行うは難し。1人だけだと実践するのに難しさもあるのかもしれない。でも本来ならこれを実現するために記者クラブがある。会見でおかしいと思ったことをツッコんでも浮かないようにするためにも記者クラブがあるのだが……という話になった。

詳しくはアーカイブをご覧ください。ほかには松本人志裁判、ジャニーズ問題、森喜朗&裏金システムの話。そして、

・いま日本でいちばん下世話なのは「東京15区」かもしれない説

・「大阪万博、玉川徹出禁?」 青木さんが玉川さんと電話で話してみると・・

・「小物界の大物」について複数のエピソードを勝手に語り合う!

などなどたくさん。アフタートークでは4月27日から公開の大注目ドキュメンタリー映画『正義の行方』の解説があります。題材となっている「飯塚事件」は過去に青木さんがルポを書いているからだ。今回も興味深い話をたくさん聞けました。

※アーカイブ視聴は4月18日まで可能です。

『青木理×久田将義×プチ鹿島の——“タブーなきニュース空間へようこそ” vol.19

https://twitcasting.tv/loft9shibuya/shopcart/297079

(文@プチ鹿島 連載「余計な下世話」)