【東京都知事選】小池百合子と荻生田光一のいびつな関係【考察】
読書は大切だなと思うこの頃です。とくに再読も面白い。ノンフィクションやルポでは今だからこそ興味深い「発見」もある。
今年は東京都知事選があるので現職の小池百合子氏について書かれたものをおさらいしていた。そのうちの一冊が和田泰明氏が2020年に出した「小池百合子 権力に憑かれた女 ドキュメント東京都知事の1400日」(光文社新書)。著者は当時週刊文春の記者で都知事や都政についてつぶさに取材して書いた本だ。
小池氏は8年前の都知事選で当選したが、その人気は自民党の都連とケンカし、批判することで「小池劇場」をつくったのが大きかった。著者はこの頃、ある政治家に折に触れて話を聞いていた。その政治家は小池氏について次のように評していた。
「僕は小池さんと親しい方だったけど、何も嫌いで都知事にしたくないんじゃない。似合わないんだよ。散らかして、後はよろしくね、と腰を据えて仕事をするタイプじゃない。豊洲市場問題どころか五輪への関心も聞いたことがないしね」
ああ、後の小池都政の「大山鳴動して鼠一匹」的な展開を見事に予言していないか?この政治家の名は萩生田光一という。
萩生田氏は小池氏のことを「文化祭の実行委員はできても生徒会長はできない」という例えもしていた。思わず都庁のプロジェクションマッピングがチカチカと目に浮かぶ。メディアに出て派手な活動に熱心な小池氏の姿も浮かんだ。
あれから8年。小池氏を酷評していた萩生田氏は、
『自民都連、東京都知事選で小池百合子氏支援へ 萩生田光一会長「出馬するなら支援」』(産経ニュース6月10日)
しみじみしてしまう。萩生田氏と自民党は裏金問題の批判が大きいため小池氏をステルス支援。萩生田氏は役職停止なのに都連会長を続けているのは小池氏との仲が良好だからという解説が流れた。
7日に東京都知事選挙と合わせて都議補欠選挙では、
『萩生田光一氏と並んだポスターに有権者から苦情…八王子選挙区、敗れた馬場貴大氏「大逆風の選挙だった」』(読売新聞オンライン7月9日)
萩生田氏の地元の八王子市では、萩生田氏が推した自民候補が敗れた。さて今後の萩生田氏はどうなるのでしょうか。「文化祭の実行委員」とか「生徒会長」はできるのでしょうか。(文@プチ鹿島 連載「余計な下世話」)