朝日新聞「自民党派閥の裏金問題をめぐる一連のスクープと関連報道」をどう見れば良いのか│プチ鹿島
ナリストの青木理さん、TABLO編集長の久田将義さん、私の3人で時事ネタを語り合う会です(第22回)。
今回はライブ名物と言っていいメディアのウラオモテ論が序盤から濃くて勉強になった。
私が2人に見解を尋ねたかったのは、・袴田巌さん無罪確定受けてのメディアの自己検証
・2024年度の新聞協会賞に朝日新聞社の「自民党派閥の裏金問題をめぐる一連のスクープと関連報道」が選ばれたことについて
でした。後者に関して私は『ニューズウィーク日本版』のコラムで「朝日裏金報道はスクープか?」と書いた。要は最初に報道したのは「しんぶん赤旗」日曜版であり(一昨年11月)、記事を重大だと考えた神戸学院大の上脇博之教授がさらに調べて不記載を見つけて東京地検に告発したという流れがあったからでは?と。
朝日は昨年12月1日に「安倍派 裏金1億円超か パー券不記載 立件視野 ノルマ超分 議員に還流 東京地検特捜部」と報じて受賞の決め手になったのだが、この内容についても検察の情報を流しただけではないか?と思えてしまったのである。
一方で自分でも注意したのは単なる「検察リーク」という言葉でまとめる気持ちもなかったこと。取材先に食い込み、どれだけ情報を引き出すかも記者の実力だとも思うからだ。どちらの視点も読者としては大切だと思っているのだが、現場を知るお二人はどう考えたのだろう?
ここでは青木さんの見解を少し紹介しよう。
・すごく冷めていえば、そんなの単なる検察リークでしょ?という指摘は全くその通り。
・メディアが調査報道によってその一端を暴くのは極めて貴重だし、それがすべてでもある。赤旗の最初の報道が偉いというのはまったく同意で異論はない。
この前提の上で、
「世の中に与えるインパクトで言えば国家権力であり捜査権力である検察が正式に捜査をし、場合によっては刑事処分をするかもしれないという瞬間を切り取った朝日のあの一面はやはり意味があったのではないか」
というものだった。つまり「一般紙」の役割として大きかったのではという。
詳しくはアーカイブで視聴してほしいのですが、ライブでは権力とメディアの関係について具体例がいくつか語られた。緊張感を持ち、バランスを取れる人もいるが、そうではない人たちが例えば袴田巌さんの冤罪を後押ししてしまったことは考えなければいけないという話にもなった。なるほどすべてつながっているのである。この論だけでも面白かったのでおススメです。とても勉強になりました。
もちろん、ライブではいつものように下世話な話もしています。
・日刊ゲンダイ「なめだるま親方」原稿には校閲が入るのか?
・出会い系バー報道の謎
・大谷翔平と金権野球、アンチ巨人とは何者か?
・「極悪女王」について(アフタートーク)
などなど多岐にわたって盛り上がっております。アーカイブ視聴期間は10月24日までたっぷりあります。ぜひご覧ください。
“タブーなきニュース空間へようこそ” vol.22
https://twitcasting.tv/loft9shibuya/shopcart/332132
(文・プチ鹿島 連載「余計な下世話」)