「NoB」こと歌手の山田信夫さん逝去 仲間からの惜しむ声続々

左・寺沢リョータ、右・山田信夫さん(写真提供@寺沢リョータ)

人気アニメ「聖闘士星矢」の主題歌「ペガサス幻想」等で知られる「NoB」こと歌手の山田信夫さんが9日腎臓がんで死去した。享年61歳。
所属事務所が13日に発表した。葬儀は関係者で営まれたが、後日お別れの会が開催される。バーベキューや焼肉では、率先して焼いて、後輩に取り分けるような、面倒見の良い優しい人だった。
「NoB」さんは、1984年にハードロックバンド「MAKE-UP」のボーカリストとしてデビュー。プロデューサーは、LOUDNESSの樋口宗孝さん(2008年逝去)だった。
1986年にテレビアニメ「聖闘士星矢」の主題歌「ペガサス幻想」で一世風靡したが、1987年に解散。
その後は、特撮ヒーロー系の主題歌の歌手、様々なロックバンド、セッションイベント等で活躍し、多くのミュージシャンに多大な影響を与えた。

近年、ロックバンド『DIDA LAIDA』でNoBさんと活動を共にしたギタリストのKENTAROは、「NoBさん、長い闘病生活おつかれさまでした。どんな時も自身のスタイルを貫いていて、その姿を見ながら隣でギターを弾いていられた事を誇りに思います。共に活動してきた時間は自分にとって大きな宝物です。最強のシンガーNoBさん、またいつか一緒に演りましょう。ありがとうございました」と偲んだ。

左・山田信夫さん、右・KENTARO(写真提供@KENTARO)

VOLCANOのボーカリストNOVは、「私が17歳の時に『MAKE-UP 』の『Runaway From Yesterday』を聴いて、カッコイイ歌だ!と感動。これがNoBさんが好きになった最初でした。それから『MAKE-UP 』にハマり、たくさん聴いた。数年後にはBand生活の中で、カッコイイ曲であるペガサス幻想をコピーする時も、やっぱりNoBさんの歌は凄いなぁと感じたし、更に数年後にイベントで一緒に歌わせてもらったりする中で、DAIDA LAIDAのステージでNoBさんの後ろでコーラス参加させて貰って、NoBさんの背中を観ながら感動していた自分がいました。『お前ー、名前ややこしいねん!』と、弄られるのが大好きでした。なので、いつのまにか同じ名前からお兄ちゃんのように思ってしまってました。偉大なボーカリストであり、お話しさせていただいていても素敵にカッコイイお兄さんであり大先輩。これからもカッコイイNoBさん!ありがとうございます」と述べた。

OSAMU METALで「NoB」さんと活動したベーシストの寺沢功一は、
「あなたは唯一無二の素晴らしいシンガーでした。一緒にバンドができたこと、一緒に仕事ができたこと、あなたと関わった全てのことを幸せに、そして光栄に思います。安らかにお眠りください。ありがとうございました」と偲んだ。
子息のベーシスト、寺沢リョータは、「皆んなとキャンプや海水浴に行ったり、クリスマスパーティーをしたり、焼肉食べたり、小学生だった自分の色んな思い出が蘇ります。いい大人になってからも昔と変わらず、俺がまだ子どものまま変わってないかのように、優しい声で大切な話をしてくれましたね。ソロライブに参加できた時は本当に嬉しかったです。報せを聞いてから病院に行くまでの間に、当時のリハ音源をずっと聞いていましたが、自分の演奏や感覚が本当に下手で未熟で。あれより何倍も上手くなっているから、この今の俺でもう一度ご一緒したかったです。家族同然の存在であり、日本が誇るスーパーロックボーカリスト。ご冥福をお祈りいたします。どうか安らかに」と語った。

また、「NoB」さんに師事した「摩天楼オペラ」のボーカリストの苑は「先日お顔を拝見するまで現実とは思えませんでした。僕がプロのボーカリストになれたのは山田先生のおかげです。もっとご恩返ししておけばよかったと後悔しております。パワフルな素晴らしい歌を聴かせていただきありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします」
と話している。
また、レコーディングでのボーカルディレクションにも定評があった。「VINYLのレコーディングでのボーカルディレクションでお世話になりました。事務所の無茶振りにもイヤな顔せず応じていただきました。ありがとうございました。ご冥福をお祈り致します」とVINYLのボーカリスト福井祥史は偲ぶ。
一方、「NoB」さんが歌った『聖闘士星矢』主題歌『ペガサス幻想』に感化されてミュージシャンになった人もいる。
流血ブリザードのボーカリストのユダは「聖闘士星矢が幼稚園の頃から大好きで、いまだに手製の聖衣を作り、それを纏ってGIGをするくらいのです。その主題歌『ペガサス幻想』はもちろんのことEDの『永遠ブルー』は私の人生に欠かせない音楽です。カラオケでも歌うし、バンドでカバーもさせていただき、頑張って真似ようとしても、とてもNoBさんのように格好よく歌えませんでした。大好きな歌声ですし、日本が世界に誇る最高にかっこいいボーカリストです。いつか共演できることを夢見ていました。本当に悲しいです。心よりお悔やみ申し上げます」

写真提供@ユダ

24年4月に脳腫瘍を患い、海外公演を中止し、治療とリハビリに専念。25年2月にオフィシャルサイトで、7年前に腎臓がんと診断されたが公表をせずにライブ活動を続けてきたことを明かした。日本人は縦に口を大きく開くのが得意でない中、「NoB」さんは、縦に四角く口を開き、パワフルな日本人ボーカリストの代表格だった。
ご冥福をお祈りします。(文@霜月潤一朗)