「ベビカス利権」で脅迫の裏事情

東京都足立区の西新井大師近くで営業していたベビーカステラの移動販売業者に対し、「俺たちは1店舗しか認めてないから」などと脅して営業をやめさせようとしたとして、暴力団幹部を含む男3人が警視庁に逮捕された。事件は、地域の露店営業における暴力団の関与や、不当な営業制限の実態を浮き彫りにしている。
警視庁によると、逮捕されたのは指定暴力団・極東会系の幹部の男ら3人。彼らは2025年5月、足立区の西新井大師近くの駐車場でベビーカステラを販売していた30代の男性に対し、「ここはうちのシマだ」「勝手に店を出すな」といった趣旨の発言をして営業を妨害し、撤退を要求した疑いが持たれている。
この地域では以前から、特定の業者しか露店営業ができないという“暗黙のルール”が存在していたとされ、今回の事件はその構図が暴力団によって支配されていた可能性を示唆している。警視庁は、このような「営業の独占」が暴力団の資金源になっていたと見て、実態解明を進めている。
取り調べに対し、3人は容疑を否認しているが、捜査関係者によれば、現場周辺では以前から複数の露店営業者が、特定の勢力に営業を制限されていると感じていたという証言もあり、組織的な関与の疑いが強まっている。
やはりシマとシノギに触れたらヤクザ側は黙っていないという実例がこの事件では見えてくる。ヤクザは博徒系と神農系とに分かれるが、極東会は的屋などの神農系に入る。その中でもシマがあり、「縄張り」で「シマ」とも読めるが「死守り」で「シマ」と読むこともあり、この琴線に触れると事件化する可能性が大きいということである。(文・写真@編集部)