スカウト会社「ナチュラル」に警察官が情報漏洩 これだけではない警察の不祥事

警視庁警部補によるスカウトグループ「ナチュラル」への捜査情報漏えい事件は、警察の信頼を根幹から揺るがす問題ですが、それだけではありません。全国の警察で相次ぐ不祥事には、性犯罪、不適切な処遇、隠蔽疑惑など、さまざまな深刻な問題が浮き彫りになっています。
まず、国家警察を統括する警察庁によれば、2024年に全国で239人の警察官が不祥事を理由に懲戒処分を受けていました。
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最も多かったのはセクシャルハラスメントや性的虐待で78件、全体の約32%。
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次いで窃盗・詐欺・横領などが52件、交通違反や事故が38件と続きます。
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処分の内訳は、免職が30人、停職76人、減給104人、訓告29人。
警察内部でも性犯罪やわいせつ行為のニュースが後を絶ちません。
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鹿児島県警では、16歳未満の少女との性交があったとして、30代の巡査部長が懲戒免職に。被害届が提出されていなかったため、逮捕もされず処分のみという点に県民から怒りが上がっています。
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同県警では、ストーカー行為や盗撮を警察官が警察情報を悪用して行っていたとの指摘もあり、不祥事対応における「隠蔽体質」が批判されています。
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埼玉県警では、27歳の巡査が職場内で20代女性警察職員へのわいせつ行為を繰り返したとして、不同意わいせつ容疑で書類送検。停職1カ月の懲戒処分後、自ら依願退職を届け出たという報道もあります。
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岡山県警でも、50代警視が知人の女性に性的暴行をしようとした疑いで逮捕。容疑を否認していますが、警察組織内での倫理観への疑念を強める事案です。
これら性的不祥事だけでなく、警察組織の体質そのものに対する批判も強まっています。
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鹿児島県警の不祥事については、「軽い処分」「県民感覚を欠いた対応」「組織的隠ぺい」などを指摘する声が根強く、県警への信頼回復には時間がかかるとの見方が出ています。
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ある元警察関係者からは、警察組織が内部告発者に対して「アメとムチ」の説得・圧力をかけ、不都合な事実を握り潰そうとする構造があるとの指摘もあります。
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また、警察内部でのパワーハラスメント問題も深刻で、警察官による自殺や上司の暴言が問題視されるケースも報じられています。
こうした不祥事を受けて、警察庁や各都道府県警は再発防止策に着手しています。
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警察庁長官は、スカウト組織への情報漏えい事件を「信頼を著しく損なうもの」と強く非難。捜査・調査の徹底と再発防止策の徹底を警視庁に求めています。
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一方で、「不祥事対応部門のトップ自身の醜態」や、組織トップによる言動への批判もあり、単なる表面的な処分だけで信頼回復が果たせるかどうかには疑問の声も根強いです。
警察という公共の秩序と安全を担う組織だけに、不祥事が続くと市民の不信感は非常に大きくなります。今回のスカウト会社への情報漏えい事件は象徴的ですが、それ以外にも警察全体が抱える問題は多岐にわたっており、組織の体質からの改革が求められていると言えるでしょう。(文・編集部)















