10代でジャニーズ事務所を解雇された「元ジュニア」が抱える光と影
現在のジャニーズ事務所は700人からなる巨大組織となっている。中ではいわゆる「ジュニア」が大半を占めているが、その大半が年月を待たずして入れ替わっているので、「元ジャニーズ」も相当数が日々生み出されている。
彼らはその後、どうするのか? 「元ジャニーズ」という肩書を生かしてタレント活動を続けるものもごくわずかではあるが存在する。だが、思うように活動できないものがほとんどのようだ。同じ芸能界なので天下のジャニーズに所属していたという経歴はこの上ないステータスになるように思われるが、その実態は正反対である。「元ジャニーズ」という肩書きがマイナスに作用してしまう業界の怖さがある。その捉え方は2つある。
まずは、ジャニーズ事務所に対しての気遣いがある。いまやテレビは、バラエティから歌番組、ニュースまで、NHKから民放各局までジャニーズだらけである。かつてはあくまで歌番組に限定していたが、今ではMC、司会業にまで手を広げ、テレビでジャニーズのタレントを見ない日はないといっていいほど。他の芸能プロダクションからすれば何より怖いのは自社のタレントが、ジャニーズ事務所側から「共演NG」を食らうことである。それを考えると、元ジャニーズを使うなんてリスクは負いたくないのが正直なところ。今後はさらにこの傾向に拍車がかかるだろう。
それともうひとつは、天下のジャニーズが管理できなかった人間を誰が扱えるのか、といった根強い考えだ。ジャニーズを追われた者の中には、言葉使いや態度が悪いといった者も少なくなく、挨拶すらろくにできないケースもある。努力や根性もなく楽することばかりを覚えてジャニーズを追い出されたタイプはどこでもお断りだし、一般社会に出ても大成はできないだろう。
オレの周囲にも元ジャニーズは多く存在する。やはり「ジャニー喜多川さんに選ばれた子」という点でもタレントとして逸材揃いで、彼らの活動の支援や制作等を行ってきた。だが、そんなオレから見ても、元ジャニーズは総じて「甘い」ところが多く見られる。ジャニーズに入ったらすぐに舞台に立てて、ファンも大勢いて、プレゼントや追っかけ、出待ちが当たり前になる。10代前半からこんな経験をするのだから、どんな男でもいっぱしのタレント気取りになってしまう。それが当たり前のような感覚になってしまうのだ。
オレも同じ経緯を経ているので気持ちはわからないでもない。だが、そんな勘違い男が次々と現れると、ジャニーさんが見捨てる気持ちもよく分かるというものだ。ジュニアになれたはいいが、それは始まりでしかない。を離れて同じ芸能界で活動しようとするのは困難でしかないということは十代の少年には理解できないのだろう。芸能界を志す男子にとって、ジャニーズ事務所は最高峰の場である。だが、そこで安心していたら、その他大勢のライバルたちに淘汰されてしまう過酷な場である。そしてそこを離れても天下り先はどこにもない。待っているのは「ジャニーズにいました」という思い出だけなのだ。
だが、その一方で元ジャニーズたちには、天才プロデューサーのジャニーさんに選ばれた子、という幸運もある。彼らはジャニーさんの目に止まったダイヤの原石なのだから、磨けば磨くほど輝きを増すのも事実だ。後ろ指を指されやすい元ジャニーズだけに、厳しく自分を律して生きなければいけないのかもしれない。
「帰ってきたカルチャースタァ☆平本淳也」
Profile●ジャニーズ出身の実業家、作家、投資家。10歳でジャニーズ事務所から芸能界入り、30歳過ぎまでアイ ドルを続け、現在もテレビや雑誌で活躍を続けるなか、月間100万アクセスを獲るカリスマブロガーとしても知られる。22歳のときに物書きデビューして以 来、34冊の書籍を発表。http://ameblo.jp/junya-hiramoto/
Written by 平本淳也
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