スポーツやる資格なしの日大アメフト部の愚かなタックル

2018年05月15日 タックル 危険 日大アメフト

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 危険タックルというか、「愚かなタックル」とここでは言っておきましょう。中学、高校と東京都の明大中野校でラグビー部に属していた体験から分析してみます。
 

 二点あります。

 一点目。

 このタックルはまず、ゲームの勝ち負けには全く関係あり得ません。従って「愚かな」タックルなのです。一部では監督の指示で「関西学院大学のQBをつぶせ」と指示があったと言います。監督はまず第一にゲームでの勝利を考えるべきです。

 ガキじゃないのです。

 ラグビーだと初心者や中学レベルのチームや選手が、喧嘩と間違えているのか、

・モール・ラック(ラグビーのルールは難しいので簡単に言えばボールを奪い合っている状況と思って下さい)で顔面を殴る

・倒れている選手をスパイクで掻く

・スクラムを組んでいる最中相手の顔面を殴る

・空中でボールをキャッチしようとした選手にタックルをする

 などの行為が見受けられます。これは全部反則です。「ワザと」やっています。


 そして反則をすればゲームに負ける可能性が高く、選手たちにとってみれば負けた後の監督の叱責や成績などの方が「怖い」のです。

 そして最も重要な点を指摘しておきますが、そういった行為をする選手は他選手から「軽蔑」されます。
 これが大変きつい。選手としての失格の烙印を押されたようなものです。もっというと「人間としても」です。

 もし、日大アメフト部が監督の指示で「相手をつぶせ」などの指示があったとすれば、日大アメフト部自体が上記の理由から存在意義がないと言えます。「勝つ」ことを前提としていないのですから。

rugbyball.jpg(※これはミニチュアのラグビーボールです)

 二点目。

 タックルの怖さを指摘しておきます。
 ラグビーはアメフトと違い、防具をつけていない、生身と生身のぶつかり合いです。緊張感が恐らく違うと思います(どちらが優れているとかではありません)。

 前回ラグビーワールドカップの日本vs南アフリカ戦。格上の南アフリカに日本が勝利しました。その時、五郎丸歩選手が「相手をきっちり殺すぞ」と言いました。これが一部で批判にさらされました。

 違います。これくらいでいいのです。「殺す」はあくまで比喩です。ナイフで刺し殺すのではないのです。

 というか、そのぐらいの覚悟がないと190cm100kgの肉体が100m10秒台で突進してくるのにタックルをする事は出来ません。「覚悟を持つ」と肉体が固まり、怪我をしにくくなります。

 今回の動画で見ると、後ろから気を抜いた関西学院大学QBに助走をつけてタックルしています。
 説明したように、タックルをする側も受ける側も身体を緊張させ、筋肉を固まらせます。お互いに怪我をしない為、選手たちの身体がそう出来るようになっています。その「掟」を破った日大アメフト選手は(もし監督が指示したなら監督も)、卑怯としか言いようがありません。

 スポーツをやる以前の問題です。

 覚悟を持っても怪我をします。それも日常の生活に支障をきたすような。私的な事で恐縮ですが、僕はタックルに行ったら相手の膝が顔面にあたり、アゴの骨を折りました。今でもボルトが入っており、寒い冬になると口が開きにくくなります。また脳震盪も三回くらい経験し、クセのようなってしまいました。が、これは真正面からタックルにいった結果です。自分の未熟さゆえです。

 今回の日大アメフトの「事件」(事件化する事もあり得る)。動画では男同士の真正面からのタックル勝負と真逆。再度言いますが、卑怯者のやる事です。これが前記したように、未熟者や初心者ならまだ分からないでもありません。

 その後、監督や怖い先輩からきついシゴキが入り、味方選手からも軽蔑されるでしょう。そうやって成長していく選手もいます。

 が、日大アメフト部と言えば全国でも有名です。その日本を代表するアメフトのチームの、しかも試合に出られる選手がこのような愚行を起こすのは、理解し難いのです。

 従って、「監督の指示」というのも僕からすればうなずけます。選手単独でやったなら、繰り返し言いますが、監督の叱責・先輩のシゴキ・仲間からの軽蔑が待っています。いずれにしても日大アメフト部の存続を問われる問題です。

 何が卑怯なのか、何が男らしくないのか。

 まだ大学生の選手たちにはよく考えてもらいたいと思います。(文・久田将義)

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