奥にいるのが薫さん。ここにいる地縛霊ではありません
ビッグダディ家の障子がすごく綺麗に感じる
彼女が大好きな古書もご覧の通り化石に
癒しの猫は餓死
玄関扉を開け光りが射し込んだ瞬間、ゴキブリが一斉に闇に逃げ散っていったーー。
「足が汚れるので土足のままどうぞ」
家主の言葉に従い、ゴミが幾重にも積み重った上を歩く。一歩進む度に大量のホコリが宙を舞う。訪問時期が梅雨だったため、湿気による悪臭も充満し、呼吸すらまとにできない......。
「この惨状で逆に人間の免疫力が高まるのか、ずっと風邪をひいたことないんですよ」
と家主は笑う。立花薫さん(35歳・仮名)は都内某メーカーに勤めるOLで、鈴木京香似の美しい女性だ。一体なぜ、自宅がゴミ屋敷的な状況になったのか。
「活字中毒なんです。特に古書集めが趣味で、ネットオークションで落札しては、貪り読み世界観に入り浸る。読むことに集中したいから、現実で掃除を忘れちゃうのかな......」
彼女曰く、床に散らばるのは新聞、雑誌、マンガ誌、古書類が幾重にも重なったもの。中には一冊十数万円の値打ちが付く古書もあるが、また新たな一冊を読め始めれば、既にあるものは「ゴミ」扱いになる。
「あと、やすらぎは猫かな。でも読書に集中し過ぎると餌をあげるの忘れてしまい、前に餓死させたこともあります。だから最近は床に餌をばら撒いておいて、勝手に食べてもらうの」
この悪臭は腐った猫エサ、糞なども混ざったものだったようだ。猫は現在6匹、勝手に子どもを産み、窓から逃げていなくなる事もあるという。
「実は彼氏ができて家に来たがっていて、片付けたい気持ちはあるけど何処から手をつけて良いか解らない。ゴミ屋敷の清掃業者に頼めばいいけど、そのお金は本に回したい」
彼女は今日もゴミを積み重ねて生きている。
取材・文◎加藤カジカ
■片付けられない症候群とはどんな病か?■
「軽い"汚部屋"ならば本人のメンタル的な問題であり、いわば鬱病や無気力症候群の一種です。ゴミを捨てる事よりも、面倒くさいのほうが先にきます。次に極端なゴミ屋敷を作る人間は、注意欠陥多動性障害(ADHD)という脳の障害の可能性も考えられます。物事をシステマチックに考えられず、片付けの最中に興味が他のものに移りやすく、色々と手をつけ結果として全然片付かない。この手のタイプは、一度ハウスクリーニングすれば改善される事が多いです」(ゴミ屋敷清掃業者)
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