「サウジアラビアが初めて女性に運転免許交付」など序の口 『Metoo運動家』が知らない世界の女性差別
「サウジアラビア、女性に初の運転免許交付」というニュースを見て、多くの日本人はこう思ったことでしょう。
「えっ、今までダメだったの?」と。
サウジはこれまで世界で唯一、女性による自動車の運転を禁じる国でした。
サウジを筆頭とする厳格なイスラム国家では、シャリーア(イスラム法)に基づき、女性は男性の従属化に置かれています。
女性は自由な外出を許されず、家の外では、身を守るという理由から肌や頭髪を隠さねばなりません。イスラム社会では伝統的に、頭髪も女性の性的魅力の一部として捉えられているのです。
女性が銀行口座開設やパスポートを取得する際は親族男性の承認を必要とし、医療サービスを受けるにも男性保護者の付き添いが必要です。
また、男性は多数の女性を妻にできる一方、女性は家族以外の男性とは会話すら許されず、浮気しようものなら問答無用で死刑か終身刑です。
自由主義の国に暮らす女性からすれば信じがたいことでしょうが、こうした因習がまかり通る国は複数存在します。
従属どころか、女性ゆえに殺されてしまうことも珍しくありません。現にカースト間の差別意識が強いインドやその周辺国、中東などでは「名誉殺人」が日常茶飯事です。
名誉殺人というのは、一家の名誉を傷つけるような淫らな行為をしたとされる女性(妻や娘)を、その夫や親族の男性が殺害することを指します。
一例として、2016年、あるパキスタン女性が夫と離婚した後、別の男性と再婚したところ、女性の家族はそれを不名誉とし、会議を開いて夫婦の死刑を決定、2人を絞殺しました。また同年、勤務先の社長の息子からの求婚を拒否し、自ら決めた相手と結婚したパキスタン女性(19)人が、一族により生きたまま火をつけられて死亡しました。