日米同盟が揺れる?元防衛大臣が語るトランプ次期大統領の正体

2016年11月22日 ドナルド・トランプ 日米同盟 防衛大臣

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 11月17日(現地時間トランプ氏が、首相会談としては世界で初めて安倍首相とニューヨークのトランプタワーで会談した。金ぴかのトランプタワーで白い歯を見せて笑みを浮かべるとトランプ氏と安倍首相とのツーショット写真が、各国のトップニュースに並んだ。日本の首相が就任前のアメリカの新大統領と会談する事は非常に稀。駐日大使になるかと国内外メディアで噂されているトランプ氏の長女イヴァンカと夫でユダヤ財閥の御曹司ジャネット・クシュナー氏、副大統領候補でもあったマイケル・フリン元防衛情報局長も同席した。

「核使用も辞さない」「北朝鮮の脅威に対し、韓国や日本も米軍に頼るだけではなく核武装をしたらどうか」などの発言を繰り返してきたトランプ氏率いるアメリカと、戦争放棄を定めた現行憲法改正へと突き進む安倍首相率いる日本が、南シナ海で挑発を続ける中国、核兵器実験を行う北朝鮮との外交にどう出るのか。日米両国の動きによって一触即発で核戦争が起きかねない緊張関係が世界から注視されている。

 一時間半の間、同行したのは通訳のみ。「信頼できるリーダーだと確信した」(安倍首相)「安倍晋三首相が私の自宅に立ち寄り、素晴らしい友情が芽生えたのは楽しいことでした」(トランプ氏Facebook)と互いを評した。しかし肝心の会談の中身は公開されていない。いったい両者は何を話していたのか。

■日米関係を見直すチャンス?

 トランプ陣営の対日政策を考える上で、重要なのが、安倍総理との会談にも同席していた元情報局長のマイケル・フリン氏だ。マイケル氏は10月に来日し自民党・石破茂元防衛大臣、民進党の長島昭久元防衛副大臣と接触している。いったいトランプ陣営はどんな対日関係のビジョンをもっているのだろうか。 

 民進党の長島氏は、こう振り返る。
「『選挙中のトランプ氏の過激な演説はあくまでパフォーマンス。当選後は実行しないから安心して』とマイケル氏は発言していました」

 長島氏は、来日したマイケル氏と初日に2時間、最終日に寿司を食べながら2時間とかなり長い時間を共有している。丁度女性問題が表にでてメディアで批判されはじめた時期だったが、マイケル氏はトランプ氏の当選を確信し、動揺はみられなかったという。

 長島氏は、「「韓国や日本の核武装」については具体的な言及はなかったが、マイケル氏は北朝鮮が挑発を続けるのであれば、日本の軍事拡大はやむ終えないとのスタンスだった」と言い、こう続けた。

「在日米軍駐留費については具体的な金額提示はなかったものの増額を要求していました。しかし、トランプ氏はあくまで商売人ですから、相手のいうなりに払ってはいけない。最初多く請求してなるべく多くとろうという考え。『払わなければ基地撤退も』とのトランプ氏側の発言もあります。沖縄の翁長知事もトランプ氏当選後、祝辞を送っていますよね」

 今後の交渉によって、基地縮小の可能性はあるのかと訪ねると......。
「今まで硬直して語られなかった日本にある米軍基地をどうするのか話し合うチャンスです。例えば首都圏上空を広くアメリカが管理する横田空域などをどう考えるのかという具体的な議論を始めるべき」

 横田基地とは、東京都、栃木県、群馬県、埼玉県、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県にまたがる空を米軍の許可なしでは飛んではいけないという取り決めで、その結果羽田に離発着する全ての航空機が、千葉の御宿を通るなど非効率的な旋回をしなければ西日本や韓国、中国へと飛べない。横田空域を完全に日本に返還すれば、羽田→伊丹を30分で移動する事が出来るというのだから驚きだ。2020年東京オリンピックを迎える今、横田空域は、CO2削減や、企業の経済活動の面からも日本の「見えない壁」として大きな障がいとなっている。

 今まで、米軍基地の問題は日本の政治、司法の上にある問題として、タブーとされていた。

「最低でも県外」と発言した鳩山由紀夫元首相はその発言の後、首相の座を追われた。「国会や官僚より更に上に、米軍が関わる"日米合同委員会"が存在している事に、退任後気がつきました。既定路線だったヒラリー氏ではなく、トランプ氏が当選した事でタブーとされていた日米合同委員会という組織が変化する可能性もあります」と鳩山由紀夫氏。

 戦後71年、アメリカとの関係を見直すべき時期に来ている。本当に安倍総理とトランプ氏が「素晴らしい友情」を確認したのであれば、安倍氏からトランプ氏に50万円の金のゴルフドライバーをプレゼントするだけではなく、女性が暴行されても、爆音で戦闘機が市民生活の上を飛んでも、刑法で裁く事が出来ないアンフェアな関係、日米地位協定を見直すべきだ。

 トランプ新政権で「山」は動くのか。監視を続けたい。

Written by 増山麗奈

Photo by Twitterより

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