〝知の巨人〟の死が波紋を呼んでいます。
評論家・西部邁さんが多摩川に入水したのは1月21日のことです。深夜2時頃、西部さんが自宅からいなくなっていることに家族が気付き、車で捜索したところ、大田区田園調布5丁目の多摩川で流されているところを発見。朝方6時半過ぎ、入水自殺が明らかになったのです。
ところが、衝撃的な自死から1ヵ月半余りを経て、その最期に疑念が抱かれる事態になっています。
ある捜査関係者の話。
「今月始め頃から西部さんの自殺には誰かが関与していたという疑いが浮上しているのです。実際、所轄の田園調布署の担当部署だけではなく(殺人事件を担当する)捜査一課が乗り出し、慎重な捜査が進められています」
西部さんは生前「俺は信頼できる男に殺されたい」と口にすることがあり、行きつけの飲み屋のマスターを含め、複数の知人に〝介錯人〟を依頼していたようですが、発覚当時は河川敷に遺書らしきメモが残されていたことから、単独での自殺を疑う捜査員は皆無だったといいます。しかし、その後の捜査で西部さんの遺体の状況に不可解な点があったことから疑惑が浮上したのです。
「多摩川から引き上げられた西部さんの体には安全ベルトが装着され、背中には白いロープが結び付けられていました。邁さんは両手が不自由のため、原稿を書くときは娘さんの口述筆記。それなのに、彼一人でロープを結べるとは思えないんです」(西部さんの知人)
さらに、現場からは5通の遺書が発見されています。
「パソコンで打ち出したものだったそうですが、西部さんはパソコン嫌いで有名でキーボードだって打てなかったはず。第三者に作成してもらったとしか考えられない」(同前)
いったい、今後の捜査はどう展開していくのでしょうか。
「当初、捜査一課は西部さんから『殺してくれ』という依頼を受け、それを実行した嘱託殺人の線で調べていましたが、遺体に傷がないということもあり、その可能性は低いと判断。現在は、自殺幇助の疑いで捜査が続いていますが、何者かが西部さんに睡眠導入剤などの薬を入れた瓶を口に含ませ、西部さんが朦朧としたところで多摩川に突き落としたという可能性も捨てきれない」(前出・捜査関係者)
当初、容疑者と目されたのは、西部さんと昵懇の間柄である大物右翼のA氏だったといいます。しかし、捜査一課は携帯履歴などの解析からA氏のアリバイを確認。すでに複数の報道機関がA氏に取材をしましたが、全否定だったそうようです。今後、捜査一課は交友関係が深かった複数の知人に事情を聞く方針です。
「西部さんは生前、自殺のためにピストルを購入できないか、本気で知り合いに頼んでいましたし、数年前、奥さんが亡くなってから自殺願望が増しているように感じました。もし自殺幇助の疑いで〝介錯人〟が逮捕されたとしても、そのあたりの事情が考慮され、執行猶予付きの判決が下されるでしょう。誰よりも西部さん自身が有罪判決を望んでいないと思います」(西部さんを知る社会部記者)
享年78歳。最期まで波乱づくしの生涯でした。(文◎編集部)
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