3月26日、同居する30歳の女性を暴行したとして、23歳の職業不詳の男性が警視庁府中署に逮捕された。府中署によれば、容疑者の男性は女性にロクな食事を与えておらず、空腹に耐えかねた女性が"残飯"を漁ったことに激怒して暴行を加えたという。昨年10月18日のことだ。
事件となった現場は当時、二人が暮らしていた新宿のマンションで、容疑者はホストとして働いていたそうだ。詳細が分からない中で断定することは出来ないが、新宿に居を構えていたということは歌舞伎町に勤務するホスト、という可能性は大きいと思う。
被害女性は、容疑者が働いていた店へ客として来店して関係が深まり、同居を始めたようだ。他者に伺うことのできないのが男女の仲ではあるが、報道によれば女性の収入まで管理した上、ゴミ漁りをするまで追い込んだというのだから、有り体に言って洗脳・監禁のレベルである。
近いうち、司直の手で裁きが下されると思うが、この容疑者が元ホストであろうと現役であろうと、ホストという職業のイメージが彼によって、幾分か落ちたことは間違いない。
もっとも、そうは言っても、立場を変えてみればホストという職業は極めてプリミティブな男稼業であり、その"成功体験"の華やかさと相まってこの世界を目指す男性は後を絶たない。そして、このホストという職業が構造的にも「風俗村」とは不可分な関係にあることもまた、事実なのだ。
現在、歌舞伎町にはゆうに200軒を超えるホストクラブがあり、そこに従事する男性がいる。そして同時に、そのホストたちをシノがせるに足り得る女性も存在している。
冒頭にあげた被害女性は同居中、清掃業に従事していたとのことだが、おそらく容疑者は彼女のことを「客」としてはあてにしていなかっただろう。と言うのも、失礼ながらホストは堅気の仕事に従事していては、とても支え切れる職業ではないからだ。
そんな事情もあって、客の中心は、若い女性が手っ取り早く金を稼ぐ手段=風俗産業というパターンがデフォルトとなってくるのだ。
実際、ホスト専門の掲示板などを覗いてみると、「〇〇〇(風俗店)を薦められた」「(貢がせるために)稼げる風俗......」などの書き込みが数多く見うけられる。そしてまた、それらの掲示板の熱心の支持者というのが、フツーの感覚で考えれば"貢がされるオンナ"である、当事者(客)だったりするから面白い。
いまから20年以上前の話になるが、筆者はあるホスト経営者から風俗店の経営者を紹介して欲しい、という依頼を受けたことがある。ホストいわく、そうすれば幾ばくかのマージンを渡せるという。
よりシステマティックに客の金の流れを管理したいということだろうが、当然ながら筆者は女衒ではないので断った。ホストに惚れたオンナが、自ら風俗で糧を得るというならそれはそれで個人の見識だが、それありきというのは、どうにも認めがたかったこともあった。
しかし、前述したようにここ最近のホスト専門掲示板など見る限り、そのような感覚は、当事者である女性自身がすでに突き抜けてしまっているようにも思える。時代が変わったのか、よりオンナが強かになったのかは分からない。
それでも、男女の仲は時に刃傷沙汰までなる。その教訓だけは、忘れるべきではないだろう。(取材・文◎鈴木光司)
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