つい先日、「出国税」なる法律が衆院本会議で可決されたというニュースを目にしました。正式には「国際観光旅客税」というらしく、2019年1月7日以降、日本から航空機や船舶などで出国する2歳以上の人に1人あたり1000円の出国税を課すのだとか。
海外旅行に出かけると無条件で払わなければならない新たな出費の誕生に、思わず「なんで?」と疑問を呈したいところですが、海外では珍しくない法律らしく...。ちなみに集めた税金の使い道は「快適な旅行環境の整備」「日本の魅力に関する情報発信の強化」「観光資源の整備による満足度向上」の3つ。多分、国のことだから無駄遣いをするんだろうなと、施行前から腹立たしい気持ちになります。
そんな「出国税」と同様に、筆者が前から「なんで?」と疑問に思っていたのが「入湯税」という税金です。幼少期に家族旅行へと出かけた際、子ども心に「なんで風呂に入って税金を取られるの?」と首をかしげていたことを覚えています。今回はそんな「入湯税」について調べてみました。
総務省「平成30年度 地方税に関する参考計数資料」の「地方税収入の税目別伸長率の推移」をもとに、筆者がグラフ化しています。
データは総務省「平成30年度 地方税に関する参考計数資料」の「地方税収入の税目別伸長率の推移」から「入湯税」の数値を抜粋したものです。
ちなみに「入湯税」とは、鉱泉浴場(温泉法で定義された温泉を利用する浴場)の入湯客に課する税金のこと。その使い道は環境衛生施設や消防施設の整備、温泉源泉の保護・管理などに充てられています。
税率は現在、「1人1日150円を標準とする」となっていて、つまり一律ではありません。平成27年の総務省資料(課税団体976の調査結果)では、「標準」とされる「150円」が893と最も多かったものの、一番安いところで「20円」、一番高いところで「250円」と大きな開きが見られました。そして、今年2月には別府温泉を擁する大分県別府市が最大で500円(宿泊食事代で異なる)までの引き上げ方針を発表しています。
そんな入湯税の税収はここ20年以上、200億円を超えていて、バカにできない収入になっています。しかし、どことは言いませんが、地域の温泉に出かけると「寂れてんな~」と思うことも多く、本当に観光資源の保護に役立っているのか、実感できないというのが個人的な感想です。まあ、使途が施設整備や源泉保護なので、目に見える観光施設に使われていないのかもしれませんが...。
新たに始まる出国税もまた、「どこに使われてんの?」となりそうな気がしてなりません。(取材・文◎百園雷太)
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