学校から駅まで続く道。前方が駅(筆者撮影)
新潟女児殺人事件で、ご遺族がマスコミに対して心境を発表しました。「犯人が捕まっても娘が戻ってくることはない。大切な存在である娘を思いがけない出来事で失い、悲しみの中にいる。今は一日も早く穏やかな生活を取り戻せることを願う」という主旨のコメントでした。
なぜ、このような発表をしなければならないのか、メディアは深く掘り下げません。痛い所を突かれたからでは、と思います。
僕が現場に行った時にも違和感を抱いた事を記しておきます。
それ以前にまず、5月16日、テレビ局がヘリコプターを飛ばして、遺体意義現場を撮影していました。画面から見れば、ヘリコプターで撮影している事は誰が見ても分かります。
近隣住民、被害者ご遺族からすれば非常に迷惑な事でしょう。遺体遺棄現場が分かっているのなら、なぜわざわざ騒々しい音を出すヘリコプターを飛ばすのか全く意味が分かりません。
犯人逮捕の翌日、僕は新潟市西区小針駅近くの遺体遺棄現場にいました。カメラマンたちが張り込みに疲れた様子。これは大変だと思います。お疲れ様と心の中でつぶやきました。
学校から駅への道路は「交通量が多い」と報道されていましたが、正確には「車通り」が多く、人通りは非常に少ないです。地方都市独特の「車が足」という状況でしょう。ここに「黒い服の男」が踏切で立ちすくんでいたら、相当目立ちます。
この男と小林容疑者が同一人物かどうか、警察は確認した方が良いと思われます。
遺体遺棄現場は、重いカメラを持ったテレビ局のスタッフ、記者らが周辺を歩いています。現場でしか分からない感じを掴もうとしているようです。気温は上昇し、取材スタッフたちは疲れている事でしょう。
一か所目の献花場(筆者撮影)
遺体遺棄現場には花が手向けてあります。二か所です。一か所は多くの花が。二か所目は少なめに献花してあります。二か所目は駅方面から向かって突き当り近くです。僕は手を合わせようと一か所目の花に近寄りましたが、そこはカメラがありました。遠慮して二か所目に移動しました。
そこにはどこのテレビ局か新聞社か分からないのですが、数人の取材チームがいました。一人は小柄、中年の男性でした。一目でマスコミ関係ではないと分かります。おそらく、「権威」なのだろうと思いながら、二か所目の花に近づきました。既に一人の女性が手を合わせていました。僕も礼をしてから、手を合わせます。
二か所目の献花場(筆者撮影)
すると右斜め後ろから控えめとは言え、笑い声が聞こえてきました。「先生が」という言葉が判別できたので恐らく、その中年男性がどこかの「先生」なのでしょう。それから、もう一人、別の女性が手を合わせに来ました。
この場所で、「よく談笑出来るな」と思いました。スタッフ同士だと談笑もするでしょう。しかし、献花場の前では控えるべきではないでしょうか。百歩譲って、帰りの車の中でのスタッフ同士しかいない場所とかに、限るべきでした。
大桃珠生ちゃんのご遺族が「一日も早く穏やかな生活」を、と願ったのはこういったメディアのこういった態度に対する細やかな「抗議」ではなかったのではないでしょうか。
自戒を込めて、被害者、被害者遺族に対しての思いやりを、もう徹底すべき時期ではないでしょうか。(文◎久田将義)
【関連記事】
●「早くしないと、早くしないと」 新潟小2女児殺害事件の犯人逮捕前に書き込まれた謎の投稿
●「新潟女子小学生殺害遺体遺棄事件」小林容疑者逮捕で疑問 ではサングラスの不審者はどこへ?
●新潟小2女児殺害事件 小林遼容疑者はなぜ笑ったのか 「殺人者は眠くなる」説|久田将義