5月17日午後1時30分に関西学院大学側が記者会見をしました。鳥内秀晃監督は憮然とした表情を隠そうともせず、日本大側の対応について、静かな怒りを吐露しました。
この事件には四つの問題が横たわっています。
1・タックルの恐怖
2・内田正人監督の適性
3・日本におけるスポーツの在り方
4・日本大学の教育
1について。
100kg近い、鍛えあげられた筋肉で、10m近く助走をつけ、思いっきり、無防備な背中にタックルを入る事の危険さ。これで神経がやられ、車いす生活を余儀なくされた選手もいます。それほど怖いプレイがタックルだと思ってください。タックルそのものが必殺技と言っていいです。
2について。
内田監督の指示なしでは、学生選手があのような反則をするとは到底思えません。
「QBをつぶせ」。
この指令を日大の選手は、忠実過ぎるほどのやり方で実行しました。常軌を逸したプレイでした。このタックルの異常性にグラウンドにいた、誰もが気づいたはずですが、想像を超えた反則でしたので、関西学院大学側も唖然としたのではないでしょうか。「何が起きたのか分からなかった」という。
日大の当該選手は、日本代表にもなろうかという優秀な選手ですから当然、自分の行為の愚かさについては自覚しているはずです。試合の勝ち負けとは関係ない所のプレイをさせれた、この大学生の選手生命は絶たれたと言っていいかも知れません。
では、絶った側の内田監督の責任はどう取るのでしょう。監督といえど、チームは学生です。人間教育も兼ねているのが大学スポーツの監督です。責任がないなどとは言わせません。公の前に出て自分の言葉で説明すべきです。それが大人の責任り取り方です。
なお、どこかのテレビ局が内田監督の母親のコメントを取ってきて「うちの子はそんな事をするような子ではない、優しいです」と言わせたのはやり過ぎです。
3について。
至学館大学レスリングのパワハラ騒動にも似ています。タコツボ化の弊害です。レスリングでは栄氏という名声はあるが人間的に欠陥がある人をコーチに持った不幸を伊調馨選手や反・栄氏のコーチ、選手たちは味わいました。
アメフト関係者に聞いてみましたが、「素晴らしい監督だったのに」と称されていました。晩節を汚すとはこの事です。最後が汚れていたらそれは、監督として失格の烙印を押されるべきでしょう。内田監督という、地位だけはある人物を監督に擁いてしまった不幸。
そしてアメリカからやってきたこのスポーツが精神的にもこのレベルだとしたら、海外からどう見られるのでしょう。いわずもがな「遅れている」と言われるのも仕方ありません。
4について。
内田監督が常務理事であるという点が重要です。つまりアメフトのみならず、学内政治でも力を持っていたという点。現在、内田監督は正式コメントを自分の口から、発表しておらず、これは日大側も内田監督をかばっている、大学ぐるみでの「逃げ」と、とらえられてもしょうがないです。また「上司」であるNO.1の田中理事長についても良からぬ噂のタレコミが数年前から各マスコミにあった、という事も指摘しておきます。真偽のほどはわかりません。大学という教育機関のドロドロした部分が見え隠れしてきました。
いずれにせよ、日大の選手は可哀そうですが、しばらくは「日大アメフト部」というだけで悪いイメージがつくことになります。
また、日大にはスポーツとは押し付ける事ではなく、選手個人個人が考えて、やるもの、人間形成を兼ねるもの、という認識を持っていただかなくては再起はないでしょう。こういったチーム作りは高校レベルでも実践しており、成功を収めています。根本的に考えを改めなければならない岐路に日大は立たされたという事を認識すべきです。(文◎編集部)
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