数日間かけて自校アメフト選手を追い詰めていった日大・内田正人前監督の罪と罰

2018年05月23日 久田将義 内田正人監督 危険タックル 日大アメフト部

  • LINEで送る
  • ブックマークする
  • シェアする

001.jpg


 あの会見を見て、心を動かさないような日大アメフト指導メンバーなら「アメフトをやる資格も生徒を指導する資格もない」そう思いました。
 「なぜこの問題がこれほど話題になるのか」という意見も散見されました。確かにそうかも知れません。ただ、僕は体育会系学生だった事、アメフトと同様、タックルを主としたラグビー選手だった立場から、考察せざるを得ないのです。

 「井上コーチから関学のQBを1プレーで潰せば試合に出してやる」。日大宮川選手の口からの明言。宮川選手は、日本代表選考会に呼ばれるほどの実力の持ち主です。
「やってはいけない」。それは一流である宮川選手が一番わかっています。タックルの怖さも、です。

 宮川選手は、監督とは口もきけませんでした。大学の体育会、あるいは高校の体育会でも100人以上あるチームは監督の下にコーチがついているものです。 
 監督よりコーチの手腕が重要とも言えます(ラグビーも同様)。井上コーチとは高校時代から監督で信頼していました。そのコーチから試合直前、「出来ないじゃ、すまない」とダメ押しをされます。

 この時、宮川選手は一流選手でありながら、正常な判断が出来ない状況にありました。約三日間の時間をかけて、内田前監督と井上コーチは宮川選手の精神を追い詰めていきました。会社で言えば、パワハラです。

 宮川選手は、アメフトに青春の全てを捧げてきて、厳しい練習に耐えて日本代表にまで至りました。
 その才能と努力は相当のものだったに違いありません。学生で日本代表にセレクトされるのはひとつの夢でもあったでしょう。しかし、その夢も「代表を辞退しろ」と言われ、絶たれます。
 そして「試合に出して貰えない」。このプレッシャーは、宮川選手のような実力のある選手の立場からすれば、耐えられないものでしょう。

 繰り返しますが、日本代表に選ばれるほどの選手だったのです。外れる要素がありません。アメフトに青春を捧げていきた宮川選手の想いはいかほどだったのか、想像も出来ません。そして、正常な判断が出来なくなっていきます。

 監督、コーチの精神的集団イジメによって。

 井上コーチが直接の指示者ですが、彼もまた精神状態がおかしくなっています。内田前監督がカリスマ性などを持っているからではありません。日大約7万人のほぼ頂点に立っている「権力者」に逆らえなかったのです。でなければ、あの指示は出しません。井上コーチもタックルの怖さは十分知っているはずです。

 「日大約7万人の頂点に立つ」と表現しましたが、内田前監督は日大という教育機関の運営者でもあります。そして7万人のNo.2です。
 その内田前監督は、二十歳そこそこの学生が一人で、あの記者会見の席に座ることをどう感じているのか。どれほど罪深い事を自分はしたのか。自覚しているのでしょうか。今のところ、こちらが、そう思うような言動は見られません。もしかしたら、これば幕引きを図ろうとしているかも知れません。だとすれば、唾棄すべき指導者です。繰り返しますが、スポーツ界からも教育界からも「一発退場」して頂きたいと存じます。

 宮川選手は日本を代表する選手になるはずだった逸材。その選手生命を、実質奪ったばかりか、学生として、また将来有望な若者、人間としての未来を汚したのは内田前監督と井上コーチ、そして日大No.1の地位にある田中理事長です。

 内田前監督は「責任は全て私にある」と言って、さも幕引きをするかのように「監督を辞任します」と言いました。いえ、全く責任を取っていません。

 では、内田前監督はどのようにすれば、本当の意味で責任を取ったと言えるのでしょう。

 記者会見を開く事はもちろん、まず、常務理事を辞任しなければ、責任を取ったとは言えないはずです。日大生徒約7万人の頂点のNo.2の地位は、日大アメフト部150人を管理する立場より、彼の存在理由をより強くさせ、その自尊心を満たしているはずだからです。

 そして、内田前監督へ。
「つぶせとは言ったが、コーチが言った。そして怪我をさせろとは指示していない」とはよもや、言いませんよね、弊サイトでは先回りして釘を刺しておきます。(文◎久田将義)

追記・この原稿を書いた5月23日。その翌日24日、日大の広報部から「相手のQBをつぶせ、はアメフトではよくある言葉で思いきり当たれという意味です」という主旨のコメントが発表。

やっぱりか。

  • LINEで送る
  • ブックマークする
  • シェアする
TABLO トップ > 社会・事件 > 数日間かけて自校アメフト選手を追い詰めていった日大・内田正人前監督の罪と罰
ページトップへ
スマートフォン用ページを表示する