そもそも、この記者会見は日大側が「やる」と言ったのでは?
日大アメフト部の悪質タックル問題。23日に行われた内田正人前監督、井上奨コーチの記者会見が連日ワイドショーで取り上げられています。会見中、一際注目を集めたのは、司会を務めた日大広報部職員による横暴な態度でした。
「やめてください、やめてください、一人で何個も聞かないでください!」
「やめてください、打ち切りますよ、会見!」
司会者は会見開始から90分が過ぎた頃から苛立ちを隠さず、「打ち切り」をチラつかせ、会場に集まった記者とバトルを繰り広げていました。そして、実際会見を打ち切ろうとした司会者に対し、記者の1人が「日大ブランドがあなたのせいで落ちますよ!」と言い放つと「落ちません!」と即答。続いて「(記者会見を視聴者が)見ていても見ていなくてもいいんですよ!」と喝破し、会場内には失笑が漏れていました。
この炎上会見に対し、有識者は「やらないほうがマシだった」と非難轟々です。図らずも日大が抱える病巣を見事に表現することになったわけですが、いったい、この司会者は何者なのでしょうか。
「彼は共同通信の論説委員長まで努めた元大幹部ですよ。現役時代は権力に切り込んでいく立場だったにもかかわらず、あの記者会見の仕切り方は......」(共同通信関係者)
元共同通信論説委員の米倉久邦氏は、1942年東京生まれ。68年に早稲田大学を卒業後、共同通信社に入社。以後、一貫してニュース畑を歩み、ワシントン特派員、経済部長などの要職を歴任し、97年の神戸連続殺傷事件の際はニュースセンター長を務めていました。いわば「ニュースの鬼」というべき存在だったのです。
退職後は趣味の山登りに興じ、複数の専門書籍を上梓。そんな米倉氏は過去のインタビューで次のような発言をしています。
「会社に属していれば、与えられた仕事を"やらなければいけない"。だけど定年後、会社に縛られない生活では、何をするかを"自分で"決めるしかない。自由って、良さそうにみえて、実はとても不自由なんです」
その後、米倉氏は日大に過去の輝かしい経歴を見出され、究極の「不自由」を手に入れたのです。
「今回の記者会見は、報道の人間としてメディア対応に長けているということだったので米倉氏に一任したのですが......」(日大関係者)
米倉氏は現在、内田元監督とともに心労のため日大病院に入院しているといいます。一夜にして時の人となった米倉氏がふたたび表舞台に戻ってくることはあるのでしょうか。(取材・文◎編集部)
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