財務省のトップであらせられる福田様ならば「水商売の女には何を言ってもいい」のでしょうか？

　財務省トップである福田事務次官の"セクハラ"疑惑は、よもやの全面否定でますます混迷の度を深めている。4月17日には麻生財務大臣が記者の質問に対し、「一方的では取り扱いのしようがない。本人が申し出てこなければどうしようもない」と、"#MeToo"ムーブメントをガン無視したコメントを述べるなど、さらなる炎上の火種まで生まれている始末である。

　麻生大臣始め、当の財務省は所詮番犬ならぬ、御用記者クラブ......最終的には我々に屈するだろうと高を括っている節もあるが、万が一（記者クラブとは無縁の）新潮社に新たな「事実」を突きつけられれば、破滅的な結末もあり得る。

　さて、疑惑の主、福田事務次官は新潮のＷｅｂ上に公開された音源で、
「旦那は浮気しないタイプなの？」
「胸を触っていい？」
「手縛っていい？」
　などの会話について、お店の女性との言葉遊びの可能性があり、なんの問題もないとの認識をしめしている。
　これは福田氏個人の見解というより、発表した財務省もなんの違和感を持っていないように感じられた。また麻生大臣の記者会見などを見る限りでは、大臣自身も同様の感覚を持っている節もある。実はこれ、彼らの感性を知る上で重要なポイントなのだ。

　福田事務次官は「言葉遊び」という一言で済ませているが、はっきりと言ってしまえばバーやクラブなどの水商売、あるいはキャバクラなどの風俗産業に従事する女性たちには、どんな（破廉恥な）ことを言っても構わないという感覚に他ならない。"#MeToo" 以降、ＡＶ業界ですら女性の人権を守ろうと本腰を入れているご時世で、このピンボケかつ傲慢な感性は、まことに笑止千万といえよう。

　筆者は長年、風俗嬢やキャバクラ嬢など数多くの風俗村の女性に接し、取材をしてきたが、彼女たちがもっとも嫌う客の一種が「傲慢」や「(女性を)見下す」タイプである。つまり、そこがキャバクラであれ、バーであれ、また風俗であれ、「こういうところで働く女だから何を言ってもオッケーでしょ？」と思っているとしたら、それは単に嫌われるだけではなく、ことと次第によっては出入り禁止やペナルティを課されることもあり得るのだ。

　勘違いしている人もいるが、実は風俗の場合も客が女性を選ぶように見えて、その実女性は厳然として「拒否」する権利を持っている。その理由は生理的なものから物理的なものまで多様だが、結果的に女性の権利が上位となることに変わりはない。これは究極的には、客よりもキャストの確保に重要性を置く、風俗村の特徴（あるいは生存のための嗅覚）でもある。

　いずれにしても、福田事務次官のセクハラの真偽は近いうちに詳らかになることだろう。しかし、これだけは言える。少なくともその感性を直さない限り、水商売や風俗村の女性にはウケませんよ......と。（取材・文◎鈴木光司）