地下アイドル「仮面女子」の猪狩ともかが事故によって脊髄損傷を負い、両下肢麻痺という重篤な診断を下されたことは、ファンのみならず多くの人に衝撃を与えた。
5月7日、障害によって芸能活動のみならず、生活全般にハンディキャップを背負う可能性が本人から発表されたが、それでも前向きにアイドルとして生きることに意欲を見せている彼女の精神力は、まずもって見事というべきであろう。
さて、当たり前のことではあるが、世の中には様々な障害を持ちながら日々の生活を営んでいる人がいる。というより、"健やかならざる者"も自活して生きていかなければならないのが、いまの日本の現実だ。
2006年6月にバリアフリー新法が可決(12月15日施行)されたが、それはあくまでも公共物におけるバリアフリーであって、まだまだ障害者が「健常者並み」に生活できる状況からは程遠い。その極端な例が人間の根源的な本能である性欲に対する意識だ。
国の施策なんて待っていられない
正直なところ、公共物はもちろん、デパートやスーパーなどのバリアフリーが徹底していないことに疑義を唱える人がいても、障害者、特に重度の者が性欲を解消することへの理解度はまだまだ低い。それどころか、「その位はガマンしろ」という暴論までがまかり通りかねない状況でもある。
これは、時の副総理兼財務大臣などが度々見せる、マイノリティへの配慮のなさを想像すればある程度想像がつくだろう。そんななか、風俗村は少しずつではあるが、マイノリティへの理解を進めようとしている。
例えば吉原のさる大衆店では、車いすを利用する障害者をスタッフが丁寧にガイドし、健常者と変わらぬサービスが受けられるよう徹底している。また、聴覚障害の客には、メールでのやり取りを心がけるなど、より最善を目指す努力を欠かしていない。池袋にあるホテトルは、キャストの写真指名の時点から車いす利用者へスタッフを送るなど、これまた彼らなりの営業努力を続けているのだ。
こうして風俗村のバリアフリー化を見てみると、総じて車いす利用者と聴覚障害者に関しては、それなりに理解が進んでいるようには思える。また、上野地区のあるデリヘルでは弱視限定ではあるが、視覚障害者への対応を検討しているともいう。
もっとも、大前提として障害者の受け入れにはキャスト、つまり女性たちの同意が必要だ。これは彼女たちの雇用条件からすれば、さらに労力を要するサービスが必要なワケで、仕方のないことではあろう。
いずれにしても、障害者であっても性欲があるという現実に、社会が答えるのは当然のことだ。エライ人たちの無知・無理解が続く中、風俗村がその先鞭をつけることが出来るなら、それはそれで誇らしいことではないか。(取材・文◎鈴木光司)
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