安定した老後には約3,000万円が必要と言われているのに「老後の計画」を立てない日本人

2018年05月18日 年金破綻 老後の計画 金融資産 預貯金

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データ1


 仕事でお金をテーマにした本を作ったのですが、そこで「え、マジで?」と思った統計データがありました。それがデータ1なのですが、これは金融資産を持っていない世帯の割合です。

 金融広報中央委員会という組織が「単身世帯」と「2人以上の世帯」について調べているのですが、最新の2017年では単身世帯で4割以上、2人以上の世帯で3割以上が金融資産を保有していない世帯という結果。
 これはあくまで「資産」についての調査なので、まったくお金を持っていないというわけではないのですが、それにしても「大丈夫なのか?」と心配になってしまいました。

 そのほかにも資産に関するデータで気になるものがあったので、今回はそれらを紹介してみようかと思います。

DATA019_data02.jpgデータ2


 データ1で金融資産を持たない世帯が意外に多いことが分かりました。そして、データ2は金融資産非保有世帯の年代別の割合で、どの年代でも資産を持たない世帯が結構います。20歳代の割合が高いのはわかりますが、60歳代や70歳代で3割近いって...。
 この世代は年金で賄えている人も多そうですが、年金制度に万全の信頼を置けなくなっている40歳代、50歳代も3割程度となっていて、この世代はこれからかなり厳しくなっていくのではないでしょうか。


DATA019_data03.jpgデータ3


 次に、金融資産を保有している人たちがどれくらいの資産額なのかを示しているのがデータ3です。棒グラフでは平均値と中央値を掲載していて、中央値とはデータを大きさ順に並べたときの真ん中を示す数値。保有額別の割合を示した表組を見るとわかりますが、アホほど資産を保有している人も多いため、平均値よりも中央値のほうがよりリアルな金額と考えられます。
 そして、その中央値ですが、40歳代で650万円、50歳代でも1100万円程度。安定した老後を送るために必要な貯蓄額の目安は「3000万円」とよく言われますが、とても貯まりそうには思えません。


DATA019_data04.jpgデータ4


 また、データ4は金融資産を保有している人たちの資産構成に関する調査結果です。構成比率は「預貯金」が圧倒的に多く、株式や投資信託などの「有価証券」は2割に満たない程度。しかも、収益性の高い金融商品についてのアンケートでは、8割以上の人が「全く保有しようと思わない」と答えていて、ただでさえ心許ない保有額である金融資産が、今後も大きく伸びない世帯が多いと考えられます。


DATA019_data05.JPGデータ5


 最後にデータ5は資産形成に関するアンケートで、老後についてはほとんどの人が不安に思っていることが分かります。しかし、老後の資産形成で重要な世代であろう30代、40代の人たちでは、生活設計を立てていない人が約6割。また、家計全体のバランス評価を意識したことがない人が約5割もいて、しかも50代以降は6割~7割と増えています。老後を不安視しながら、生活設計や家計管理が適当なんて、もう何が何やら...。


これらのデータをまとめると、

・そもそも資産を持たない世帯が3割前後いる
・金融資産の非保有世帯は40代以降でも結構多い
・金融資産を保有している世帯でも十分とは言い難い金額
・資産は貯蓄メインで大きな増加は期待薄
・老後は不安だけれど対策はしていない人が多い

 ということになるわけで、これからの日本はどうなっちゃうんでしょうか。(文◎百園雷太)


[※データ出典]
データは全て金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」をもとに、
筆者がグラフや表を作成したものです。データはクリックすると拡大されます

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