トラブルが止まない歌舞伎町
2018年の風俗業界を振り返ったとき、思いつくのはホスト絡みのトラブルが目立ったということだ。特に10月に歌舞伎町で起こった通行人を巻き込んだ飛び降り自殺は、各種メディアが大きく取り上げたことで多くの一般の人の関心を集めた。もっとも、「巻き込んだ(負傷させた)」ということが主で、その原因となったホストクラブでの出来事は所詮"他人事"であり、多くの一般人にとって無関心のようだったが......。
歌舞伎町で女性が飛び降り自殺 通行人の男性は大怪我 彼女が最後に口にしていた言葉とは
そんな業界のトラブル多発を象徴するように、大手風俗掲示板では弁護士事務所の広告が散見されるようになった。その内容はいくつかのタイプに分かれるのだが、ざっくり言えば前述したようにホスト絡み、具体的に言えば料金のトラブル、売掛け取り立てのトラブル、そして売掛け回収の際の威圧的(暴力的)なトラブルなどを解決・アドバイスするパターン。
そしてもうひとつは、当該掲示板などを中心に悪質な「書き込み」に対する方法を伝授・解決するパターンだ。これは、デマや中傷、名誉棄損にあたる書き込みなどを法的に削除し、さらに必要とあれば書き込んだ人物の端末情報まで追跡する、というものである。
どちらの弁護士相談も、一昔前なら法的措置などにまではいかなかったものであり(あるいは、思いもよらなかった)、いかにも今風という感がアリアリだ。弁護士側が掲載を持ちかけたのか、それとも代理店側が提案したのか、おそらく後者だと推測するが、それにしても風俗村も時代に合わせて変わらざるを得ないということなのだろう。
ホストクラブのトラブルは今後も増えていくのか?
後者の「書き込み」に関するトラブルは、風俗嬢が客商売であることを考えれば、本質的には深刻な問題である。これは飲食店などに置き換えてみればわかるが、事実無根の中傷をネット上にあげられれば、やられた側は当然法的措置も視野に入ってくるであろう。正直、いままでが無関心であっただけで、これだけネット社会になってくればこのような動きは、当然と言えば当然なのかもしれない。
一方、前者のホスト絡みのトラブルはまた少し、複雑な問題を抱えている。当該広告などでも強調しているが、暴力的な取り立ては論外として、そもそも論として自分の飲み代は支払うのが当然だ。また、それが強要だったか否かの立証が難しいのは、風俗村の人間なら誰でもわかるだろう。
それでも、このような広告が必要なことを考えれば、歌舞伎町の巻き込み飛び降り自殺に象徴されるような、抜き差しならない状況が頻繁に行われている、ということの証左なのかもしれない。その反面、売掛け回収の責任は担当ホストが負うものであり、そのツケはやがて彼ら自身に降りかかってくる。回収に彼らが必死になる気持ちは、(彼らの理屈でいえば)わからないでもないのだ。
現在、ホストクラブの飽和状態が続くなか、この種のトラブルは来年も続くことが予想される。しかしながら、所詮、男と女の出来事、なんでも法で縛れるものでなし、最終的には落ち着くところに落ち着く......しかないような気もする。あとは、業界の自浄作用(復元力と言い換えてもよい)に期待するしかない、と言ったところだ。(取材・文◎鈴木光司)
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