K-1格闘家が見たボクシング金メダリスト村田諒太のデビュー戦「最強王者ゴロフキンを目指せ」

2013年08月26日 スポーツ ボクシング 村田諒太

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 記憶に新しい2012年ロンドンオリンピック、ボクシングで48年ぶりに日本に金メダルをもたらした村田諒太。

 その村田選手のデビュー戦が昨夜有明コロシアムで。東洋太平洋チャンピオン柴田明雄選手を相手にフジテレビ系列でゴールデンタイムに地上波生中継という異例づくめで行われました。

 

 パイレーツ・オブ・カリビアンのテーマが響き渡る中、上半身裸の臨戦態勢の中に笑顔を浮かべてリングへ向かう村田選手。

「プロのリングが楽しみでしょうがない。自分の力を試したくてしょうがない」といった雰囲気です。

 やはり全世界の注目が集まるオリンピックという大舞台を経験しているからでしょうか、佇まいからは余裕と自信が感じられます。

 ファンのハイタッチに笑顔で応じる姿にも早くもスターの輝きが感じられます。

 村田選手がこれまで活躍してきたマチュアボクシングはポイント制。格闘ゲームに例えると強パンチ1発と弱パンチ1発が同じポイント。そのため、

・相手のパンチをもらわないこと

・自分のパンチを当てること

が最重要になります。

 それ故に、どうしてもアマチュア出身の選手はテクニックはあるけどパンチは弱いという傾向がありました。

 が、村田選手はやっぱり並の選手とは違いました。

 開始直後にいきなりの強くて長い右ストレートで東洋太平洋王者の柴田選手をパワーで圧倒。村田選手のプレッシャーから逃れようと体勢を崩した柴田選手の顎に踏み込みながらの右ストレート一閃。柴田選手が吹っ飛ぶびながらダウンするほどの威力。あの高いガードから踏み込みながら強い右ストレートが打てるのはさすがですね。

 その後も時折笑顔を浮かべながらプレッシャーをかけ続けて一方的に柴田選手を圧倒。

 接近戦での右のパンチがビンタを打つようなオープンブローになっていたことが少し気になりましたが危なげなくTKO勝利!

オリンピック金メダリストの強さを証明して見せました。

 

 村田選手はパワーもさることながら、アマチュアボクシング出身なだけあってガードをしっかりと上げて脇が閉まっています。その高いガードから重く、長い右ストレートが飛んでくる。

 右ストレートを避けようと接近するとオリンピックでも見せた得意の左ボディブロー。対戦相手にしてみれば厄介極まりないですね......。


 村田選手は体幹の強さも目立ちました。相手のパンチを受けても身体がブレることなく直ぐに反撃できる。

 一方の柴田選手は村田選手の思いパンチを受けて身体が左右にブレていました。やっぱりスポーツでは体幹は非常に大事なんですね。

 試合後のインタビューでも金メダリストらしく爽やかなコメントでした。やっぱり大口を叩いたり、対戦相手をディスる選手は一部熱狂的なファンを生み出しますが反感を買いアンチも生み出します。

 特に日本の国民性を考えると国民的なヒーローになりにくいです。その点、今日の試合を見る限り村田選手は国民的なヒーローになりうる可能性を感じました。マスクも良いですしね。

 

 さて、気になるのが村田選手の今後。

 今回、村田選手が試合をしたミドル級には無敗の王者ゲンナジー・ゴロフキンを始めとした錚々たるチャンピオン達が名を連ねています。

 ボクシングは主要な団体が4つあり、各団体の4人のチャンピオンの中でなるべく相性の良い相手を選んだり、現在チャンピオンが不在の団体に働きかけて王座決定戦をしてもらうのがチャンピオンへの近道なんですね。

 実際、タイトルマッチは王座決定戦ばかりのチャンピオンもいます。

 

 しかし、今回のマッチメイクを見ても村田陣営は、村田選手を「本物」のチャンピオンに育てていこうという意気込みが感じられます。ならば村田選手には最強王者のゴロフキンをターゲットにしてもらいたいです。

 次戦あたりでゴロフキンの王座に挑戦した石田順裕選手とやって見るのもいいんじゃないでしょうか? 石田選手も村田選手に挑戦を表明しているだけに実現の可能性は高いと思います。ゴロフキンへの試金石としても申し分ないと思いますが......。


【関連記事】K-1格闘家が見たWBC王者山中防衛戦「黄金レフトの強さは間合いと体幹トレ」


Written by 大野崇

Photo by 101%のプライド/幻冬舎

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