大島薫 著書より
<大体の男性は「気持ち悪いおじさんと女の子。どちらとキスがしたいですか?」って聞かれたら問答無用で女の子選ぶじゃん?じゃあ、女の子に同じ質問したらどうなると思う? これが大体の女の子も「女の子がいい」って答えるんだよ。...気持ち悪いおじさんって、何のために存在してるのかわからないな>
ツイッターフォロワー数25万人超えの"カリスマ男の娘"こと大島薫さんの、上記12月15日に投稿したツイートが、プチ炎上状態に。もともとその言葉に影響力を持つ大島さん、いつもリツート数1000超えは当たり前ですが、このツイートは約7000リツイート、約28000いいねの一方で、アンチリプが急増したのです。
そんなリプのごく一部を紹介します。
たとえば、さらなる差別意識でマウンティングをかけるリプ。
<カマの歪みすぎた価値観がここに現れてるなあ>
<わ〜、めっちゃ自虐 ネカマ設定お忘れですが?>
<こういうことホザける気持ち悪いオカマって、何のために存在してるかわからないな>
大島さんはそんなこと一言も言っていないのに、自身の"気持ち悪い"像を表明してしまったリプ。
<スティーヴン・ウィリアム・ホーキング博士に自分から好んでキスしたい人は少数派だと思いますが、大島さんは博士についてはどうお考えなんでしょう>
<気持ち悪いおじさんが嫌な気持ちはわかる一方、先天的な病気や知能障碍を持つ人は結構な割合で"気持ち悪い"に属するんだよな。気持ちの悪いおじさんがなんで生きてるか分かんないな。昔は可愛い男の子だったかも知れないけど>
<相変わらず凄い事言う人だな。容姿で勝手に気持ち悪いって判断して、存在を疑問視するって無茶苦茶だろ。あなたの意見は、全国のアトピーや皮膚疾患、感染症や自己免疫疾患を患ってる人の存在を全否定してるって事だろ? よくそんな事言えるな>
続いて過激派。
<その気持ち悪いおじさんがいつかあなたを刺したとき、私は笑ってパーティー開きますよ。長生きできるといいですね>
大島さんはその後、12月17日に、自身が思う"気持ち悪い"の定義をこう解説。
<気持ち悪いおじさんについて三日三晩考えたんだけど「気持ち悪い=客観視できてない」ってことなんだなって思うんだよ。女性が「私だったらそんなの恥ずかしくてできないよ」ってのを当然の顔してやるから気持ち悪い。逆に「俺はもうおじさんだよー」ってわきまえるおじさんはそんなに気持ち悪くない>
さらに何人かのユーザーと、こんなコミュニケーションを取っていました。
<貴方の発言は普通に外見差別で普通に害悪だと思いますよ>
とのリプには、
<気持ち悪いおじさんって外見だけで気持ち悪いんですか?>
と返信。それにユーザーが、
<要するにそういうことが言いたいんでしょ? そういう言葉遊びで人を面白半分で排除する理論は許されるべきではありません。貴方の理論なら障害者も排除する道理が出来るし人種差別も許されます>
と応戦すれば、
<しかし、犯罪を犯したら排除されるけど、そのなにが犯罪かを決める法律を作ったのも人間やしな なんで人っておかしな人を奇異の目で見て気持ち悪がるんやろ( ˘ω˘ )それって防衛本能みたいなもんなんやないやろか。ここまで行ったら変な人、ここまでやったら危ない人...みたいな基準があるんちゃう?>
と問題提起をし、さらに思考を巡らせる余地を与えてくれます。
また、
<あなたも 他人から見たら じゅうぶん 《気持ち悪いおじさん》のうちの1人ですよ 笑>
といじわるに指摘したユーザーに対し、なんやかんやコミュニケーションを取るうちに、なんと、
ユーザー<早く結婚しようと思います 笑>
大島さん<結婚しても愛され続けるとは限らんけどな お互いがんばろうな_(:3」z)_>
ユーザー<生きるって大変ですね>
と、おだやかに会話し始める展開も。
はあちゅう氏との対談でも突出した「大島薫理論」
こうしたユーザーとのやりとりについて大島さんは、12月10日に発売した『大島薫対談集 贅沢なカラダ』で意図を明かしています。
たとえば、作家でブロガーのはあちゅうさんとの対談にて(意外にもこれが初対談のよう!)。
数々の炎上を起こされ疲弊し尽くしたことで、
<ネガティブな言葉に対しては、無視が一番>
と、対処法のうちのひとつを明かすはあちゅうさんの一方、大島さんのスタンスは、
<同意見も反対意見も聞きたい>
<思考ロックをして、なんでもかんでも批判してくる人も含めて、聞きたい>
と、真逆。その理由を、
<どんな人の考え方も、すべてが間違っているわけではないと思う>
<村社会になっていくほうが怖い(中略)暴走して「自分が絶対に正しい!」という意識のもとに、現実に影響を与えるような問題を起こしてしまうことがあるかもしれません。そうしたことが起きないように、自制の意味も込めて、批判的な意見は聞きたい>
と明かしています。と言いつつ、
<ボクも批判されたら絶対病むし、落ち込みます(中略)どうやってメンタルを保っていけばいいのかと考えると、はあちゅうさんのように、自分にとって不要な意見を省いていくことはとても大事>
と、理解を示します。なるほどこうしたスタンスだからこそ、穏やかな展開が待っているのかもしれません。
そうした"対話"の重要性は、女性装をする東京大学教授の安冨歩さんとの対談に現れていました。50歳から女性装をはじめたという安冨さんは、やり始めた当初、
<町に出るとじろじろと白い眼を向けられることがありました>
といった経験をしたことで、最初は、
<「男性が男っぽいまま、女性の服を着ているからかな」と思っていた>
そうですが、違うことに気づいたといいます。
<もしそうだとしたら、全員が白い眼を向けるはずですから。でも、向けない人もいるわけです。ということは、「『白い眼を向けたい人』が、あらかじめ一定数存在することがわかったのです。白い眼を向ける人、イコール「差別をする人」ですが、そういう人にとってだけ「安富はおかしい人」であって、差別をしない人にとっては「安富は普通の人」なんです(中略)トランスジェンダーというのは、一番わかりやすくて、白い眼を向けやすい存在なんですよね>
"女性を装う男性"という共通点を持つおふたり。上記の大島さんへのアンチリプのようなことが、社会で日常生活を営む上で、頻繁に降りかかっているのかもしれません。
そんななか、大島さんへのリプにあった、
<あなたを「気持ち悪い」と思う人の気持ちが尊重出来るのなら、100歩譲って一理あると認めてあげます。出来ねーなら黙ってろこのダブスタのレイシスト野郎ってお話です。多様性は、お互いに尊重しましょう。それが、万人のためです>
という声に対し、
<できるできる ( ˘ω˘ ) 人間はきっと「理解できないもの」に出会ったとき危機感や違和感を覚えて「気持ち悪い」と感じるものだから、そういう意味ではみんながみんなだれかに「気持ち悪い」と思われるかもしれないって恐怖を抱きながら生きていってると思うやで(๑•ㅂ•)>
と、大島さんが回答していたことが、安富さんとのやりとりを前提とするとより理解が深まります。
さて両者は、対話の大切さをこう導きます。
<大島 子どもも違和感に対する疑問を露骨にぶつけてくることがありますよね。「男? 女?」と聞いてくる。そういううときにボクは、「どっちかな?」と聞くようにしています。
安富 聞くのは大事ですね。
大島 そうしたら、彼らはそこになんらかの理由づけをしてくるから。
安富 会話が可能になる。コミュニケーションや対話に変えていくことは、本当に大切です>
ただ、すべての"社会的に違和感のある人"が、おふたりのように考えているわけではなく、深刻な悩みを抱えている人が多いのも事実です。大島さんもそうした事例をあげ、強制はしていません。
ーーといったことを踏まえると、「"気持ち悪い"とは一体なんなのか」と、思考巡らせる機会を与えてくれた大島さんの声はやはり意義があるのだと感じる気がするのは、よく記事を「気持ち悪い」と形容されがちな筆者だからこそ、"気持ち悪い"を指すのは、外見に限ったことではないとわかるからこそ、自身を省みるきっかけとなるのです。(文◎春山有子)
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