写真はイメージです
先日、「EXD44」(テレビ朝日系)という番組に出演しました。共演した、元暴走族の岩橋健一郎さんが「そう言えば私と久田さんのところに殺害予告が来た事がありましね」と話しかけられたのですが、正直思い出せなかったほどです。岩橋さんによれば、僕が何らかの処理をしたようです。
タイトルにあるような、こういう類の抗議はよくありました。細かいし数が多いので記憶が定かでないのですが、何とか思い出してみます。
ただ、僕にも「何かあったら言ってきて」という協力者はいます。勿論、できるだけその人たちには頼らないようにしていました。この場合もそうです。
ある事件について当時、編集長をしていた「実話ナックルズ」で記事にしました。やった事はハッキリ言って同情の余地がない残忍な行為でした。死者が出ないだけマシだったほどです。10年以上前の事件ですが、渋谷で起きた当時はかなり話題になりました。
「こりゃヤバいだろ」。僕はちょっとした義憤にかられました。で、犯人の生い立ちなどを僕の暴走族・チーマー人脈を駆使して浮き彫りにした記事を書いてみました。犯人は更生できるのかと思うくらいのワルでした。「滅茶苦茶だよ、こいつ」。素直にそう感じました。
「男同士、一対一で会いましょう」
事件になっている案件を書く事は報道です。僕に何のためらいもありませんでした。こういう凶悪犯罪を起こす犯人の素性を知らなければ、また同じ犯罪が起こってしまうのではないか、そういった理由もあります。
雑誌が発売されてから10日くらい経ったあたり、編集部に一本の電話がかかってきました。まだ若い男の声でした。
電話を取った僕は、まず相手の言い分を聞きました。が、相手はいきなり右翼と名乗ってきました。僕は決して相手を甘く見ることはしません。何を言いたいのか、その人にも言い分はあると思うからです。
しかし、相手はかなりカマしてきました。
相手「あの、記事なんだけど。何だよあれ」
僕「何だよ、とはどういう意味でしょうか」
相手「自分、右翼やっているモンだけど」
僕「はい」
相手「で、兄貴の事、何好き勝手に書いてんだよ。街宣かけるぞ」
僕「いや。結構ですよ、別にかけなくて。頼んでませんよ、そんな事。で、彼はあなたの兄貴分ですか? では逆に僕も聞きたいです。何であんな凶悪な犯罪を犯したのか」
相手「右翼なめんなよ。兄貴にだって言い分があるんだよ」
僕「言い分? じゃ、被害者の方はどうなるんです? 不幸中の幸いで死者は出なかったけど一生心の傷を負って生きていかなければならないかも知れないんですよ。それが漢たる者のやる事ですか? あなたも右翼なら、権力に向かって牙をむいているんじゃないですか? 無抵抗の人間に対して傷つけるんじゃなく」
相手「右翼なめんじゃねえぞ」
僕「どこが右翼をなめているんですか? 僕の言っている事に筋が通ってないと感じるのなら、男同士一対一で会いませんか? あなたも男なら会えるでしょ。僕は一人で行きますよ。事務所はどこにあるんでしょうか」
相手「●●町だよ」
僕「近いじゃないですか。今から会いましょう。あと、差支えなかったらどこの団体の方か教えて頂けませんか。僕は自分の名前と会社の住所、電話番号、メールアドレス、全て公開しています。だから、あなたの団体も教えて頂けませんか」
男はある団体を名乗りました。新しく出来た団体かも知れません。しかし、男は「会うには及ばない」と言ってきました。僕は僕で、会社から近かったのですぐに行くつもりでした。
僕「あなたの兄貴分を想う気持ちはわかりました。でも、被害者がいる事を忘れないで下さい。そして日本と日本国民の為に活動をして下さい」
そう言って電話を切りました。相手は納得してくれたでしょうか。ひとまず街宣車は来なくなったようです。
それよりともかく、僕は僕の信じる事を誠意を持って話したつもりです。分かってくれなかったり、ヤカラのように挙げ足を取り金目当てではなかったらしいので、これは幸運なケースだったのかも知れなりません。
この若手右翼の場合、気持ちはわからなくもないですが、「右翼だけども」「街宣車回すぞ」と言った時点でアウトです。警察に被害届けを出すというセレクトが正当です。
更に言うとウチみたいな中小出版社を脅して何になるのかとも思いました。その団体の器量が...僕は分かってしまった気がしました。
なので、僕も「一対一で会いましょう」と申し出たのです。
本当に会うつもりだったのでしたが......会っても何も解決しない場合もあります。(文◎久田将義 連載「偉そうにしないでください。」)
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