私が昨年興味を持ったのが「木嶋佳苗裁判」だった。
裁判報道がなぜあれだけ盛り上がったのか。婚活サイトで木嶋佳苗と知り合った多くの男が結婚詐欺・連続不審死事件に巻き込まれた。では、どれだけの女かと思ったら「あまり美人ではない」という。マスコミの前には姿を晒していない。いったいどんな容姿をしているのか。
そんな人物が裁判所に登場する。そこに行けば「正体」を拝める。こうして木嶋佳苗は事件発覚時より数倍の注目と野次馬を集めた。
だから裁判傍聴記も売れた。「毒婦。木嶋佳苗裁判100日傍聴記」(北原みのり)と「別海から来た女―木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判」(佐野眞一)の二作。
驚くことに両者の木嶋の第一印象がまるでちがうのだ。同じ裁判を見てるはずなのに。いったいどうなっているのか。私は傍聴記の読みくらべ話をあちこちで書いたりしゃべった。そしたら作者2人と別々に対談もできた。
とくに佐野眞一と会ったのは昨年の「週刊朝日・橋下連載」渦中の時だったので橋下徹や盗作疑惑のことも聞いたら「今日は木嶋佳苗がテーマでしょ?」とえらく怒られるオマケもついた。
そんな佐野、北原の本で共通しているのは木嶋佳苗のプライドの高さだ。
もともと事件が話題になったのも木嶋佳苗本人がブログを頻繁に更新し、セレブ(風)生活をせっせとアピールしていたからだ。
おいしいものを食べ、派手な生活をし、うんちくを語る。アヒルは水面下では必死で水かきをしていると言われるが、木嶋も優雅な生活を保つために男たちを利用したという見方もできる。
ブログが注目され生活が憧れられる。容姿は関係ない。楽しかった、と思う。
そんな木嶋佳苗に先週動きがあった。
女性自身(10月22日号)が「独占公開 木嶋佳苗から届いた268通の手紙。」という記事を載せたのだ。女性自身の記者が木嶋被告と30回以上の面会と268通の書簡のやりとりをしたという。
「スリムじゃないと恥ずかしいとか、モテないとか、強迫観念があるように見えるけれど、そういう不安にとらわれて女として生きていくのって、不自由だろう なあとお気の毒にさえ思います。だって私は一度もスリムな体になったことはないけれど、いつもハンサムでお金持ちの男性が傍にいてくれたから」
「手紙でプロポーズしてくる人がいる」。
木嶋節全開!
さらには獄中で読んだ本を語り始める。
「夏目漱石三昧の日曜日になってしまいました」
「谷崎の日本語の美しさに引き込まれます」
圧巻は"グルメ生活"だ。
「パン好きの私が今までいちばん美味しいと感じたコッペパンは、東京霞が関の検察庁の昼食に出されるパン。警視庁の留置場のものとはまったく別物です」
まるで検察庁のパンを食べることのできる私はセレブ、とでも言っているかのよう。
木嶋佳苗は今でも優雅さをアピールしているのだ。獄中生活なのに。
今でも「ブログを更新」しているのだ。自分を特別な女だと思っている。
実際に「共感してくれるかわかりませんが、みなさんに理解してほしい。私がちょっと一般の方と違うことを」と言っている。タフだ。
そうそう、落語のうんちくも語っていた。
「落語は為になる話なんてしない。それなのに、二~三千円の木戸賃払って寄席に行って笑いたいと思う。文学的ではない魅力がある、と私は思っています。ですからどの師匠が好きとか演目がどうこうと言うより、空気感が粋なところが何とも言えず好んでしまうのです」
なんだかすごい。
そのうち木嶋佳苗が「落語とは人間の業の肯定」と言いだしたらどうしよう、と私はドキドキしている。
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Written by プチ鹿島
Photo by 別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判
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