2013年の「顔」は誰だろう。マー君、半沢直樹、あまちゃん、2020年五輪招致の最終プレゼンテーションメンバーあたりがパッと思い浮かぶ。
「みなさまのNHK」が選んだ大晦日の紅白歌合戦の審査員をみると、田中将大、滝川クリステル、片岡愛之助(「半沢直樹」出演)、宮藤官九郎(「あまちゃん」脚本)が入っている。
紅白にはこのほか、壇蜜とふなっしーがステージに出場するという。審査員席に座る「田中将大、滝川クリステル」と、そうではない「壇蜜、ふなっしー」の違いはなんだろう。
後者には在野感が漂う。
そもそも壇蜜は、田舎のおじさんやおばさんは知らない「辺境」から来た人だ。オヤジジャーナル(世間の流行に最後に気づくおじさんメディア)が壇蜜に気づいてしまった。
オヤジたちは当初壇蜜を遠くから見ていたが、声をかけてみたところ壇蜜はオヤジを馬鹿にすることなく期待に応えてくれた。喜んだオヤジジャーナルによって壇蜜は拡散された。
どんなにメジャーになっても、辺境の人に漂うのは「非公式」感。得体の知れなさ。なんなら若干の胡散臭さも伴う。その異端さはいざ拡散されると想定外のエネルギーを放つ。
船橋市の非公認キャラクターである「ふなっしー」も"辺境の人"と言える。アウトロー。本来のゆるキャラがやらない言動も一緒に盛り込む。
次の例を考えるとわかりやすい。熊本県PRマスコットキャラクターのくまモンは10月に天皇皇后両陛下と対面したが、ふなっしーは決して天皇陛下とは対面できない。非公式な存在だから。何をするかわからないから。手紙渡しちゃうかもしれないから。
辺境から来た壇蜜とふなっしー。間違いなく今年の顔だ。
「非公式の人」は公式感たっぷりの人たちが座る紅白の審査員席には呼ばれないし、壇蜜とふなっしーもそれはわかっている。それをわからなかったのが猪瀬直樹ではないか。
本来、在野にいるべき人だったのに、書いてる側の人だったのに、そこをわざわざ出て中央に立つタレント性もなかったのに、「紅白の審査員席」を目指してしまった。似合うと思ってしまった。公の目にさらされるプロの図々しさもなかったのに、うっかり出てきてしまった。
猪瀬直樹の「アマチュア性」はカネのルーズさではなく、そこである。
Written by プチ鹿島
Photo by 結いの党公式サイト
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