首相官邸に小型無人飛行機「ドローン」が侵入した事件。この一報を聞いて以来、ドローンという名前も危険だと私は主張してきた。思わずダジャレを言いたくなってしまうからだ。しかしツイッターで「官邸からドロ~ンします」とのん気につぶやいているうちはいい。ドローンという言葉をおっさん達が「覚えてしまった」今、今後いろんな局面に登場しそうな予感がある。
最も可能性が高いのは毎年3月に発表される「新入社員のタイプ」だ。公益財団法人「日本生産性本部」が、毎年新入社員の特徴を例えて発表するアレ。平成27年度は「消せるボールペン型」と名付けられた。
その意味は、「書き直しができる機能(変化に対応できる柔軟性)」と最初は褒めているのだが、「不用意に熱を入れる(熱血指導する)と、色(個性)が消えてしまったり、使い勝手の良さから酷使しすぎると、インクが切れてしまう(離職してしまう)」。
大きなお世話だ。
去年は「自動ブレーキ型」で、一昨年は「ロボット掃除機型」。曰く「段差(プレッシャー)に弱く、たまに行方不明になったり、裏返しになってもがき続けたりすることもある。能力を発揮させるには環境整備(職場のフォローや丁寧な育成)が必要。」
ますます大きなお世話だ。なんか、おっさんの知識にやっと届いたモノを無理やりうまいこと言って落とし込んでいる気がする。
発表先の「日本生産性本部」に聞いてみると、「あくまで商品で例えるのは後付け。現在の大学4年生に関するデータを集め、キャラクターを絞り込み、最後に外部の8人の有識者が商品やモノで例える」という。新入社員をなぜモノで例えるようになったのかを尋ねると「入社式にこのフレーズを使ってくれる」「新入社員と話すキッカケに」という。やはりと言うべきか、おじさんによるおじさんのための「若者まとめ」だった。
モノで例えるのは後付けと言うが、
・「形態安定シャツ型」 (平成11年)→「防縮性、耐摩耗性の生地(新人)多く、ソフト仕上げで、丸洗い(厳しい研修・指導)OK。但し型崩れ防止アイロン(注意・指示)必要。」
とか、
・「ボディピロー型(抱き付き枕)」(平成14年)→「クッション性あり、等身大に近いので気分はいいが、上司・先輩が気ままに扱いすぎると、床に落ちたり(早期退職)、変形しやすいので、素材(新人の質)によっては、いろいろなメンテナンスが必要となる。」
などを見ると、最初からモノありきでそれに当てはめる作業にしか思えない。
さぁ、そうなると来年の新入社員である。流行語が最後におじさんたちに届いてその役目が終わるように、来年の3月ごろにおじさんたちが使いたがる用語は何か。
私は「ドローン」が有力と思えてならない。ドローンにはおじさんたちが若者に抱く不安も入ってる。
《技術の進化により今までは不可能だった業務をひとりでこなすが、何かのきっかけですぐに落下(退社)するモロさがある。やはり最後は上司の操縦(コントロールとコミュニケーション)が必要。》
こんな感じのことを気分よく言いだしそうな気がする。若者を理解したつもりになりそう。
というわけで1年前に発表しておきます。平成28年度は「ドローン型新入社員」です。
Written by プチ鹿島
プチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆TBSラジオ「荒川強啓ディ・キャッチ!」◆YBSラジオ「はみだし しゃべくりラジオキックス」◆NHKラジオ第一「午後のまりやーじゅ」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」
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