NHKスペシャル「戦後70年 ニッポンの肖像」で「"豊かさの分配" その先に」という回をやっていた。主役は田中角栄だ。
《高度成長期、自民党は、"成長"の果実を、広く地方などに"分配"することを通じて、豊かさを求める民意に応え、政権の座にあり続けた。この流れを推し進めたのが、「列島改造論」「福祉元年」を掲げた田中角栄だった。》
しかし「角栄モデル」は1990年代以降、行き詰まる。番組ではそのあとに登場した首相たちを追う。「自民党をぶっ壊す」というキャッチフレーズを掲げて世論の支持を集め、総裁選も圧勝した小泉。
小泉は師匠・福田赳夫が、ライバル田中角栄の「カネと数の力」を前に敗れ去る姿を間近で見ていた。「自民党をぶっ壊す」とは「田中派をぶっ壊す」という意味だった。私怨をわかりやすい言葉に変換することによって勝利したのだ。ケンカのうまさ。小泉の登場で自民党の景色は一変した。それまでは「保守傍流」だった旧福田派の「清和会」の影響力が強くなる。「清和会」は森、小泉、安倍、福田と2000年代に4人も総理を生んだ。
こうなると興味は、かつて小泉氏が田中派の流れを崩したように、安倍一強の現在の流れに抵抗する人が今後出てくるのか?だ。そういう点でいうと、チェックしておきたいのはこの話題。
・安保関連法案:石破氏「理解進んでいるとは言えない」(毎日新聞 ・7月14日)
この発言は、石破茂が自身の存在感を示すためといわれている。9月におこなわれる予定の自民党総裁選は「無投票で安倍氏再任」という流れだが、石破氏が出馬の可能性をちらつかせたともとれる。しかし、石破氏のケンカ弱さは明白。
※参考記事:ケンカ下手な石破茂には「妖怪ウォッチ」が足りない!? プチ鹿島の『余計な下世話!』http://tablo.jp/serialization/pkashima/news001656.html
去年、内閣改造の際、あっさり白旗をあげた石破氏は本当にやれんのか!? 無投票よりは盛り上がったほうがいいとは思うのだが、でも考えてみれば石破氏はチャンスかもしれない。あれだけ高かった安倍政権の支持率が落ちてきている。小泉純一郎があの時橋本龍太郎に対し世論を味方にまさかの勝利をしたように、やってみなければわからない。実は石破茂には本人も気づいていない「秘密兵器」がある。
自民党議員のメディアへの威圧的発言についてたしなめた「なんか自民党、感じが悪いよね」という石破氏のコメントが、ツイッターでは 「自民感じ悪いよね」 というハッシュタグとなり、盛り上がった。小泉氏が「自民党をぶっ壊す」というキャッチフレーズで旋風を巻き起こしたように、石破茂も「自民感じ悪いよね」をキャッチフレーズにすれば、なんだか小泉の手法っぽいではないか。
石破氏がケンカ上手になるには、まずは小泉流のキャッチフレーズから掲げてみるのはどうでしょう。
Written by プチ鹿島
Photo by 石破茂公式サイトより
プチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆TBSラジオ「荒川強啓ディ・キャッチ!」◆YBSラジオ「はみだし しゃべくりラジオキックス」◆NHKラジオ第一「午後のまりやーじゅ」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」
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