世界唯一!? 名曲喫茶ならぬ『名曲床屋』で、身だしなみ整えてきた|Mr.tsubaking

2018年11月25日 Mr.tsubaking 世界唯一 名曲喫茶 名曲床屋 散髪

  • LINEで送る
  • ブックマークする
  • シェアする

 床屋さんが絶滅の危機に瀕しています。ここでいう床屋さんとは町の理容店のこと。男性も美容室に通うようになり、1000円カット店の台頭の煽りをくっての現状です。

 私も、髪を切りたいと思っても理容室は選択肢に入っていませんでした。
 しかし、「珍」でステキな理容室があるので、理容室の復権を願ってご紹介いたします。

 池袋から西武線でおよそ20分。保谷という駅につきます。目的の床屋さんへは、都内とは思えないような畑の点在する風景の中を15分ほど歩きます。


001.jpg

 斜陽の風情を湛えた一見普通の床屋さん。この店の何が「珍」でステキなのか。近づいてみましょう。


002.jpg003.jpg

 レコード1000枚を所蔵し好きな一枚を聴きながら散髪してくれる、名曲喫茶ならぬ「名曲床屋」なのです。
 店内へ入ると、「野良文化遺産」といった雰囲気の昭和そのものが迎えてくれます。


004.jpg

 柔和な面立ちの店主に促され、席に座るとテキパキと準備がすすみ散髪。開業から50年という歴史を物語るような堅実で丁寧なハサミさばきは、1000円カットとも美容室ともまた違った、不思議な安心感があります。

「なにか聴きますか?」と尋ねられたので、せっかくなら最初は店外の張り紙にもあったビートルズをリクエスト。1stアルバム「Please Please Me」に針が落とされます。


005.jpg

 曲がはじまって驚きました。めちゃくちゃ音がいい。それもそのはず、セッティングされているスピーカーはなんとイギリス有名メーカーTANNOY製で、しかもマニアが「憧れ」とも称す「Stirling/SE」という名器。床屋には似合わない、高さおよそ80センチの巨大なTANNOYから流れる、ビートルズの楽器の音の生々しさと言ったら、ミュージシャンの末席を汚す私も感嘆しました。


006.jpg

 話題は自然とビートルズになります。デビュー曲「Love Me Do」が流れれば、デビュー当時のいろんなエピソード、ライブ最後の定番曲「Twist And Shout」が流れればライブの話など、普段は美容師には話しかけられたくないと思っている私も、いつの間にか店主との会話を楽しんでいました。つづいて、シャンプーです。


007.jpg

 存在さえ思い出すことのなかったこのタイプのシャンプー台。窮屈で不細工な前かがみのポージングでシャンプーされるのも、ノスタルジーが刺激されます。

 シャンプーが終わり「次は何を聴きます?」の質問。ビートルズ全盛の頃、日本ではグループサウンズが流行ったという話題になり、カーナビーツをリクエストしたのですが、CDでしかお持ちでないとのことで、カーナビーツがカバーしたゾンビーズが流れてきました。

 いったんマッサージを挟んで次のステップへと行きたいところでしたが、ゾンビーズがSP盤(シングル)だったので、店主はレコードの入れ替えに。一人で切り盛りなさっているのでSP盤をかけると、床屋としての仕事が度々中断してしまうのはご愛嬌。

 グループサウンズの流れでワイルドワンズが流れてきました(今度はLP盤なので安心)。そして、美容室ではできない「顔そり」が始まります。座席が倒され仰向けになった顔に、少し熱めの蒸しタオルがかぶせられます。これが気持ちいいのなんの。


008.jpg009.jpg

 目線だけ横にむけると、いい風景。座席がレコードで埋まっています。
 蒸しタオルが外され、お湯と専用の粉末を泡だてたシェービングクリームを、豊かな毛並みのハケで顔に塗ってくれます。これがまた、えもいわれぬ気持ち良さなのです。そして、丁寧に丁寧にヒゲを剃ってくれ、眉毛や耳の産毛までまさに顔中をカミソリが優しく進みます。

 耳にはワイルドワンズ。良質なスピーカーのおかげで「ワイルドワンズのギターの歪み方ってこんなにかっこいいんだ」と再確認させられました。


010.jpg

 丁寧な顔そりが終わると、再び蒸しタオルタイム。眠ってしまいそうな気持ち良さです。そこから、アフターシェーブローションと乳液をつけてもらい起き上がると、鏡にうつる私の顔は、キラリと輝きキリッとシャープになっています。「きちんとした身だしなみをした」という気分。
 美容室では決して体験できない床屋さんでの身だしなみ、オススメです。

 セットもしてもらい、これで終わりかと思ったらコーヒーを出してくれました。コーヒーを飲みながら最後の一枚オーティス・レディングをリクエスト。店主のお話を伺っていると、かなり音楽マニアのようで、スピーカーを自作するほど。愛らしい笑顔の店主の後ろにあるのが自作のスピーカーです。


011.jpg

 床屋の身だしなみと、高音質で流れる好きな音楽。
 もう一度訪れたい珍スポットです。(Mr.tsubaking連載 『どうした!?ウォーカー』 第22回)

■せき理容店
西東京市住吉町4−5−1
042-421-0405

  • LINEで送る
  • ブックマークする
  • シェアする
TABLO トップ > 連載 > 世界唯一!? 名曲喫茶ならぬ『名曲床屋』で、身だしなみ整えてきた|Mr.tsubaking

連載コラム

  • ほぼ週刊吉田豪 僕がなぜこれをRTしたのか
  • プチ鹿島の「余計な下世話」
  • 青木理「逆張りの思想」
  • 川奈まり子の奇譚蒐集 キュリオシティ・コレクション
  • 中川淳一郎の俺の昭和史
  • TABLO編集長・久田将義 偉そうにしないでください。
  • 岡本タブー郎 テレビのムカつく奴
  • 朗読詩人 成宮アイコ 傷つかない人間なんていると思うなよ
  • 悪役YouTuber・シバターの「おまえら、ユーチューバーなんかになるな!」

動画配信中!

  • 001-03_03.jpg

広告募集

  • adbana.jpg
ページトップへ
スマートフォン用ページを表示する