歌舞伎町でぼったくられた客が店を相手に裁判した結果...by 渋井哲也

2014年06月02日 ボッタクリ 歌舞伎町 渋井哲也 裁判

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歌舞伎町でボッたくられた男性が逆襲......?

 世界最大の歓楽街の歌舞伎町。以前と比べればぼったくり店も減った。ぼったくり禁止条例の影響なのだろうか。条例では、料金等の表示義務を課し、不当な勧誘や取り立てを禁止するものだ。2000年に東京都がつくり、大阪府等でもできている。とはいえ、不当な請求がないわけではない。そんな中で、裁判で争って、不当請求部分を支払わなくて済んだ男性がいた。

 某日金曜日午後10時30頃、歌舞伎町を歩いていた男性がキャッチに声を書けられて、キャバクラに案内された。男性はキャバ嬢1人が接待していたところ、眠り込んだ。翌日午前6時ごろ、男性が目を覚まし、伝票を見ると、40万4千円を請求された。しかし支払えないことから、手持ちの10万円を支払った。不足の30万4千円を期日までに支払う旨の念書に署名捺印をさせられた。

 その後、男性は弁護人を探し、既に支払った10万円の返還を求めない代わりに、その後の支払いを請求しないことを求める和解を提案したが、店舗側は拒否し、残金の支払いを求める少額訴訟を起こしたのだ。男性側も不当請求だとして反訴した。

 店舗側の主張だと、VIP席は一時間2万円、延長料金30分9000円を2時間分で3万6千円、場内指名料一時間3000円で、A嬢への指名3時間で9000円、およびB嬢への指名1時間3000円、スペシャルカクテルが単価6000円、A嬢に31杯で18万6千円、B嬢に5杯で3万円。つまみジャーキー2000円、サービス料35%で10万100円、消費税5%で1万4300円、持ち込み料3600円。これで総額40万4千円となった。

 これに対して男性は、店側から料金体系の説明を受けず、VIP席にも案内されていない。同店舗では一時間ほどしか起きていないし、ドリンクの注文も応じていない。内容不明の持ち込み料が含まれている。証人尋問でキャッチに声をかけられた際の料金の提示は「5000円ぐらいだった」と主張した。

 歌舞伎町のキャバクラは正式には午前1時までの営業だ。その後朝まで営業している店もあるが、それは「深夜店」と呼ばれ違法。営業停止覚悟で営業している店がほとんどだ。

 仮にこのキャバクラ店が午前1時までとすると、男性は2時間半、サービスを受けたことになる。仮にVIPルームだとしても5万5千円。指名やドリンクがない場合、これにサービス料と消費税で2万2千円。これだけだと7万7千円となる。そうだとしても、VIPルームを日頃利用しない男性が、キャッチに声をかけられた店でVIPルームを利用するのは不自然だ。

 裁判所の判断は、伝票の信用性が乏しいことをあげている。「同意した上でVIP席に着席したとは認められない」とした。ただ、男性側もキャッチの提示が「5000円ぐらいだった」としながらも記憶が曖昧だった。従って裁判長は、歌舞伎町のキャバクラの相場から、1セット8000円~1万円、延長30分で3000円~5000円、サービス料及び税金で20~30%から計算して、3万3800円となる。

 さらに、短時間でA嬢が31杯も頼むのは不自然で、カクテル分を注文をしてないと男性側を主張を認めた。その上で店側は男性が「眠り込んだことに乗じて執拗に本来の飲食代金額を大きく上回る飲食代金の支払を受けようと」したもので、不法行為と判断した。

 男性は勝訴した。しかし、弁護士費用を考えれば、手元に残ったのは数万円だ。請求に関して支払わずに済んだが、結局、出費がかさんだ。悪質な店に行かないためにも、キャッチには気をつけたほうがいいだろう。そもそもキャッチは現在、条例で禁止されている。

 男性は当初、「もうキャバクラなんかいかない」と言っていたが、相変わらず、歌舞伎町のキャバクラで遊んでいる。酔っぱらうとよく聞かずにキャッチに付いて行ってしまうのは変わっていない。後日も「キャバクラでいくら使ったのか分からない」と言っていた。ぼったくりには合っていないようだが、もうちょっと警戒して遊んでほしいと思った。

Written by 渋井哲也

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