韓国カルチャーに想う幸福感と悲壮感 ハットグに並ぶ人で賑わう新大久保の地で|ライブレポート

スピーディなリズムを刻みながら、身体が勝手に動き出しそうなK-POPをBGMに新大久保を歩いていると、チーズハットグやサムギョプサル、チーズタッカルビなどにお腹の住人が食らいたいと躍りだしそうです。
どこに目を向けても美味しそうな韓国料理たちが私を誘惑し、ふと気がつけばいつの間にかお腹の住人は幸せに満たされています。なんとも魅力的な韓国文化なのだろうと、訪れる度に感激しています。

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この韓国文化に幸せを味わう一方で、度々目にする韓国嫌悪のニュース。徴用工問題、レーザー照射の問題、厚生労働省に努める人が韓国の空港で職員に暴行、 さらには年金機構の世田谷所長が韓国に対してSNSでヘイト投稿など、韓国の文化を楽しむ人間としてはなんとも心の痛むことばかりが起こってしまっています。

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特にSNSでの反韓感情はひどいものばかり。確かに現在の日韓の外交関係は決して良いとは言い切れないせん。睨み会いが続き、SNSではそれを受けた市民たちが今もなおヘイトを撒き散らす悲惨な状況が続いています。さらにはSNSの情報に乗じた有識者であるはずの人達までもがそんな憎悪を掻き立ててしまっているのが今の日本の状況です。
いい意味でも悪い意味でもSNSが発達し地球の裏側にいても様々な情報がリアルタイムで入手できます。誰もが情報の担い手として言葉を発信する便利な世の中になった一方で、フェイクな情報さえも真実味を帯びてしまう危険な状態でもあります。
嘘の情報はネットの波に揉まれ、事実の仮面を被り、それが真実だと踊らされていることに気づかないまま別の人へと発信されてしまいます。そうなってしまえばその本質の実態を掴むためには相当な労力が必要です。その現状の社会に住む私たちは非常に重大な立場に置かれています。

その嫌悪な情勢の中で渋谷にあるトークライブハウスのLOFT9では、週刊金曜日を主催とする『文在寅・韓国大統領と勝手に連帯する夜』というイベントが行われました。文在寅が市民にどれだけ寄り添った政治をしているのか、日本人の権力に対する行動への否定的側面や、韓国のデモクラシーの高さなどを語るイベントでした。
登壇者には作家であり週刊金曜日の編集委員である、雨宮処凛氏や発行人の植村隆氏、一橋大学准教授のクォン・ヨンソク氏、写真家の初沢亜利氏らが登壇しました。
この日韓情勢に抗うかのように連帯を呼び掛け、警鐘をならす有意義な空間だったことでしょう。

韓国について語る登壇者

 日本では少しでも政治に関する発言をすれば、議論どころかバッシングばかりが目立ってしまのが現状です。考えの合わないものは排除すると言わんばかりの社会が蔓延しています。芸能人が政治発言をするなだとか、音楽に政治を持ち込むなといった声に押し潰され、政治に対して距離を置いてしまいます。本来なら貴重な意見さえも封殺されてしまうこともあるでしょう。
これは日本の政治の未熟さを表していると感じてしまいます。一方で韓国では政治は文化の一部であり、100万もの人が団結し、大統領を倒してしまうほどの力を持っています。
本来政治は生活を支える部分であり、必要不可欠なものです。政治は一部の人間のものだけでは無いですし、むしろ多くの人で議論するからこそ、より良い社会を築けるのではないでしょうか。

「誇り高き日本人」と謳う人たちは平気で他人に暴言を吐くような人が多いように感じますが、はっきりいってしまえばどの国の人でも素晴らしい人はいますし、その反対に憎悪を掻き立てる汚ならしい方もいます。その人間性に国を当てはめることはこれからの時代では通用しないでしょう。邦人としての誇りなど一息で吹き飛ぶただの埃に過ぎません。それよりも、文化の違いを受け入れ合い共生する未来を探すことの方が余程大事です。
ただ非難し、武力による威圧に莫大な資金を注ぎ込むよりも、相手を慮る想像力に労力を費やすことが必要ではないでしょうか。

他国の文化を知り、言葉を知り、生き方を知れば、助け合いの時代が必ず訪れます。
私はただ様々の国の好きな音楽を聞きながら身体を自由に踊らせ、好きな食べ物に幸せを感じ、心豊かに生きたいだけです。それが韓国でも中国でも他のどこの国でも同じです。嫌悪なんてしたところで関係が悪化するだけですから私も含め、もっと心の優しさが欲しいものです。(写真・文◎宮原塁)