震災から3年 復興の目玉となるか? 熊本県は意外にも『珍建築』の里だった!|Mr.tsubaking

2016年に熊本を襲った震災から4月14日で3年が経とうとしています。震度7クラスの揺れに何日にもに渡って襲われた熊本では、3000人近くのけが人と267人もの死者がでて、最大18万人以上の方々が避難を余儀なくされていました。

現在でも2万人以上の方が仮設住宅などでの仮住まいを続けています。しかしその後、全国各地で様々な天才が頻発し、この震災は風化の一途をたどっているのが現状です。

私には熊本に暮らす親類や友人が多くいます。そこで、観光に訪れる人が増加し復興の一助となればと思い、今回は熊本の「珍建築」をご紹介していきます。高度経済成長期、どの街も同じような景観になっていることを危惧し「くまもとアートポリス」が設立され、県内各地に個性的な建物をつくっていきました。そうしたことから、熊本は珍建築だらけの街なのです。

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まずは、熊本県北部に位置する玉名市の丘の上に立つ「玉名展望館」です。

 宇宙ステーション、ロボット、秘密基地など、何に見えるかは人それぞれですが、空想科学的なドキドキを思い出させてくれる、かっこいいフォルムです。
建築家高崎正治の設計で、三層に分かれており、下から、人々が触れ合う層・周囲の自然と交歓する層・天を望む層として作られました。

 実際に登ってみると、未知なる古代遺跡のような作り。曲線や突端に、幸福や発展といった意味が込められています。最上階からは玉名市はもちろん、遠くに雲仙も見渡せる絶景を望むことができ、展望台の前の盛り土は高田古墳であり、空間だけでなく時空の奥行きまで感じさせてくれるのです。

つづいて、熊本市内の中心部に近い場所にある建築をご紹介します。

 美術館や博物館のようにも見える奇抜な容貌ですが、こちらは「熊本中央警察署」なのです。ガラス張りのビラミッドを逆さまにして地面に突き刺したような形は、熊本の街の中でも異彩を放っています。設計はメタボリズム建築のブーム終焉後の担い手として台頭した建築家の篠原一男。

上層階に、柔剣道場やギャラリーを配置するために、上に行くほど広がる構造になっています。

 側面は一転して、極太の管が抜群の存在感を放ちながら走っています。これは屋上を集会所として利用するため、空調の室外機を屋上でなく、この管の中に収めているためです。

最後にご紹介するのは、世界遺産に登録された三角西港の近く、宇土半島先端の宇城市にある「海のピラミッド」。

 ピラミッドというより巻貝のような形をしたこの建物は、もともと三角港フェリーターミナルの待合室兼展望台として作られましたが、ここから出向していた島原フェリーが2006年に廃止となり、海のピラミッドは待合室としての役割を終え、展望台として親しまれています。

 中に入ると、まるでSF映画に飛び込んだような景色。設計したのは熊本出身の建築家である葉祥栄。展望台までは、内部を螺旋状にグルグルと回転するように登っていきます。
高さ25mの頂上までたどり着くと、今度は外周を螺旋状におりていく構造になっていて、この二重螺旋構造はなんだか遺伝子を思わせ、広大な三角・天草の自然の中にいながら自らの体内のミクロな部分をも考えさせる不思議なつくりです。

 日本にいくつか残る仏教建築のさざえ堂にも似た感覚になってくるのです。

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震災から3年、離れた場所に暮らす私たちは忘れてしまいそうですが、心や街にいまだに傷を持ちながら、熊本は頑張っています。そんな熊本の観光の一助になればと願っております。(Mr.tsubaking連載 『どうした!?ウォーカー』 第31回)

■玉名展望館
玉名市大倉高田1144
■熊本中央警察署
熊本市中央区草場町5番13号
■海のピラミッド
宇城市三角町三角浦1160ー177