「生きにくい」…ということにさえ気付かない人もいる 覚醒剤の後遺症でコンビニで暴れた男の裁判

いつもはおとなしいという彼が突然店で暴れたのはやはり病気が大きな要因になっているように思われます。彼本人は事件当時のことは「ほとんど覚えていない」ということでした。

逮捕されるまで、人と話すことも人間関係をつくることも苦手な彼は行政や医療の支援を受けることもなく、同じような境遇に置かれている数少ない友人たちとその日その日を気ままに生きてきました。
そのような彼の生活態度を社会福祉士は、
「生きにくさを抱えて生きている人のなかには、その『生きにくさ』に気付くことさえできない人もいます」
と説明していました。今後は行政の支援と医療につなげることで、再犯を防止していく、ということです。

彼はいわゆる「老害」と呼ばれる人だと思います。

ただ、彼の抱えている事情や「生きにくさ」に目を向けもせず彼を老害呼ばわりして見捨てるような社会は、誰にとっても「生きにくさ」を抱えて生きざるを得ない世の中なのではないかとも思えます。(取材・文◎鈴木孔明)