妻・政代さんが記者会見 「セブン-イレブン東日本橋1丁目店オーナー失踪事件」 血も涙もない労働環境
コンビニの売上金を盗んで失踪していた男の窃盗の裁判も傍聴しました。彼は事件時、被害店の店長をしていました。
店の売上が上がらないことを、「エリアマネージャー」という立場の者に責められ続けていました。ある日、エリアマネージャーにいつものように責められている時に
「これ以上ダメなようならクビね」
と言われました。
どう頑張っても売上があがる見通しは立ちませんでした。店長はこの時点で50歳を過ぎていました。再就職先のあてもありません。エリアマネージャーに言われた「クビね」の一言は、店長を自暴自棄にさせるには十分なものでした。
「どうせクビになるくらいならいっそ…」
こうして彼の人生もまた狂わされてしまいました。
上記の2つの裁判の舞台になったのはいずれもセブンイレブンではありません。別のコンビニチェーンの話です。
事件にまでなってしまうようなケースは少ないかもしれませんが、おそらく似たような話は多くのコンビニで現在進行形で起きていると思います。コンビニだけでなく他の業界でも起きています。
今回、政代さんの会見ではセブンイレブンが槍玉に挙げられていますが、セブンイレブンという一つの企業だけを責めて終わる話ではありません。
今問われているのは、社会のあり方そのものです。
少し話はそれますが、昨年「奴隷」そのものの扱いを受けている技能実習生がいることが問題になりました。技能実習生だけではなく「偽装留学生」の問題もあります。
昨年、日本国内で失踪した外国人の人数は約7000人です。
セブンイレブンも含め、あまりにも弱者を食い物にするシステムが多すぎます。もう終わらせるべきです。人の不幸の上で成り立つ便利さや繁栄など、あってはならないのですから。(取材・文◎鈴木孔明)