なぜ、治安が良いとされてきたスリランカで大規模自爆テロが起きたのか 年間5万人の日本人観光客
スリランカ政府は、今回のテロを実行したのはイスラム過激派組織「ナショナル・タウヒード・ジャマア」によるものとだと発表している。
ナショナル・タウヒード・ジャマアは、インドやバングラデシュのイスラム過激派組織とも連携していたとされる組織だ。テロ発生の2週間前にはインドの情報当局が情報を掴み、スリランカ政府にテロの危険性を伝えていたという。イスラム国も犯行声明を出していることもあり、国際的な組織が絡んでいたことは間違いない。
仮に勢力を後退させているイスラム国が今回のテロに絡んでいるとすれば、キリスト教徒や外国人を狙った方が、世界的なアピールになり、テロの目的にも合点がいく。
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さらに世界情勢からみると、スリランカは中国との結びつきが強い。タミル・イーラム解放の虎との内戦においては武器援助を行い、その後は経済援助を続け、ハンバントタ港の使用権を獲得したことはよく知られている。
今回のテロを未然に防げなかったとして、国防担当相と警察庁長官は辞任に追い込まれ、露骨に親中路線に走った前大統領とは違い、バランス外交を掲げるシリセナ大統領には批判の矛先が向いている。
イスラム過激派を隠れ蓑にして、スリランカに揺さぶりをかけようという勢力が黒幕にいることも考えられる。スリランカの国内問題と国際問題が複雑に絡み合っているのが今回のテロである。(文◎八木澤高明)