能町みね子×吉田豪 対談『ヘイトとフェイクニュース』を語る|第二回 「意識高いサロン系の人々について」

能町:高校生くらいの頃から注目されてるミュージシャンで、私は繊細そうな芸術家タイプの人というイメージだったんですけど、最近急に「ぼくのりりっくのぼうよみ」を「辞職する」と言って。そこまではいいんですけど、「たなか」というヤケクソみたいな名前に変えて、YouTuber界隈とつるんだりして、私の目からするとどんどんカッコ悪くなっていってる……。

吉田:プラス、ちょっと意識高い系的な文化にも近付いて行って。

能町:なんか、世代的に、サロン的な「意識の高さ」に惹かれちゃうのかなあ。絡め取られている気がして。

吉田:箕輪厚介が好きな人生の応援ソングをまとめたコンピレーション盤に本人が歌ってる曲も入ってて、それを作ったのがSKY-HIとぼくりりなんですよ。ボクがモヤモヤするのはSKY-HIとぼくりりっていうのは今年のミスiDの審査員でもあって、そのへんのセンスが近いとすると複雑で。

能町:でも、ぼくりりとかSKY-HIは自分で作品も作ってるし、サロン側に行ききる気はないと思うんですよ。いい意味でどっちつかずなところにいる気がする。それで言うと、ダイノジの大谷さんは明らかに「あっち」に行きたいのにぜんぜん行けないからちょっとかわいげがありますよね。

吉田:行きたい電波はすごい出てるんですけどね。キングコング西野さんとかオリエンタルラジオ中田あっちゃんみたいになりたいのがすごい伝わってくるのに、全然なれないところがボクも好きです(笑)。

能町:サロン側の人で言えば、はあちゅうさんなんかもそうですね。囲い込みビジネスの人。サロンというシステムは定期的にお金が入ってくるから、極端な話、何もしなくてもお金は増えますよね。危なっかしいシステムですよ。でも、はあちゅうさんはちゃんといろんなことしてるんですよね。調べてみたらマメにいろんな行事をしてて、そこは素直にすごいと思いました。好きな人にとっては、お金を払う価値のものにはなってるんじゃないですかね。

吉田:ただ、はあちゅうさんがサロンの人たちをタダで使ってるみたいな告発もあって炎上して人が減ったからなのか、イケダハヤトさんの脱社畜サロンと合体する流れは面白かったですけどね。

能町:人をタダで働かせる事件、ありましたねえ。

参考記事:はあちゅうさんの「吉田豪を恨んでます」発言についてキッチリ答えます|吉田豪 | TABLO