秋田女児殺人事件 娘を母親に殺害された父親が行政を訴えた理由 「助けられたのではないか…」

3人で住んでいた家に荷物を取りに行く名目で訪ねるも、祐子に警戒され、引っ越しされてしまう。心配した彼は元義父に頼んで新しい住所を教えてもらい、手段を講じる。

引っ越し先である大仙市役所へ行ったり、探偵社へ捜索をお願いしたり、幼稚園や地域の民生委員に見守りをお願いして回ったり……。さらには元義父にお願いして教えてもらった住所に「面会させて欲しい」と記した手紙を送ったりもした。

手紙を出したことが祐子の被害妄想を刺激したのか、対抗措置をとられてしまう。「家庭内で暴力を受けていた」という虚偽の申出を大仙市役所に出され、住所にブロックがかけられてしまう(DV等支援措置)。さらには「ストーカー被害に悩まされている」と警察に被害届を出されてしまう。こうしたことにより、阿部さんは愛実ちゃんとの縁を完全に絶たれてしまった。

一方、祐子は精神疾患を悪化させたことから、当時移転していた秋田市の児童相談所に「娘を預かって欲しい」と連絡。その結果、愛実ちゃんが4歳のとき、児童養護施設に預けられることになった。

このとき児童相談所は祐子の「夫はDV加害者でストーカーなのでくれぐれも連絡しないで」という話を精査せず鵜呑みにした。

施設の人たちは愛実ちゃんを大切に育てたようだ。入所した当時はコミュニケーションが下手で感情をあらわにすることがあったが、次第に落ち着き、女の子らしいかわいい少女へと成長していきつつあった。

ところが愛実ちゃんが9歳になった2016年の6月の一時帰宅の際、愛実ちゃんの人生はそこで終わりを迎えてしまう。事件が起こってしまったからだ。