都知事選・細川陣営の選挙事務所訪問で感じた「沈んだ雰囲気」の意味

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 20日、東京都知事選に出馬予定の細川護煕氏の選挙事務所に行ってきた。同事務所は平河町のJA共済ビルの斜め向かい、旧山崎派が事務所を構えるのと同じビルにある。17日に契約し、最低限度の備品を備えた。

 実は18日にも、事務所を見に行った。広いスペースにテーブルと椅子がいくつか置いてあった。6名くらいのスタッフと思しき人たちが集まって話していたので、中に入らずに外から様子を伺った。

 今回は、選対の事務局長を務める馬渡龍治氏に会った。馬渡氏が衆院議員時代から知っている。

「地上戦はやらない、ポスティングも電話かけもローラーもやらない。ネット選対のみ」

 馬渡氏は胸を張った。なるほど電話は見当たらない。奥に一か所しかないのだとか。

「なにもかも透明で、すがすがしく潔い直球勝負の選挙にしたい。細川さんに『事務局を頼む』と言われた時、そういう条件なら受けると言った」

 だが気になるのはあの雰囲気だ。

 勝ち馬に乗りたい人は多い。だから、勝利する事務所は最初から人があふれている。過去に2度、負けた事務所に行ったことがある。07年の東京都知事選に出た浅野史郎氏と、04年の参院選比例区に出た高倉ミチオ氏の事務所だ。いずれも知人が関与していたために行ったわけで、「取材」というわけではなかったが、あの雰囲気が忘れられない。

 高倉氏の事務所は南新宿にあった。がらんと広いスペースには人気がなく、ぽつぽつと備品が置いてあった。浅野氏の事務所は西新宿にあった。出入りする人たちが何も仕事をしていないように見えた。

 細川氏の事務所はその雰囲気に似ているのだ。細川氏はいま、自公の応援を得ている舛添要一氏と競っているという。だがあの雰囲気で、最後までもつのかどうか気になる。

 選挙はイメージが大事だと、馬渡氏も述べていた。すなわち「広報戦略」だ。92年の日本新党ブームでは、細川氏には小池ゆり子氏という「広報部長」が付いていた。バブル崩壊間もない頃のこと。あの派手でおしゃれで都会的なテイストは時代にあっていた。

 さて今回、殿様はどういう広報戦略で戦うのか。細川氏のDNAを見ると、近衛家は公家だからもちろんのことだが、細川家も「武勇伝」というのはあまり知られていない。実力ではなく頭脳で時代を乗り切ってきた家系だ。そしてその頭脳は殿にではなく、家臣たちになくてはならない。

 馬渡氏の「潔い」という言葉も気になった。「潔い勝利」という日本語はないからだ。さてさて……。

Written by 安積明子

Photo by 細川護煕「閑居に生きる」

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細川護煕「閑居に生きる」

事務所も閑居。

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