再開したあいちトリエンナーレ『表現の不自由展、その後』に行って感じた、止められないアーティストの創造力|久田将義

事実、抗議活動などはなく、写真にある通り看板が出ている程度でした。平日だったせいもあるでしょう。

抗議の看板

愛知芸術センターに入ると、まずは『表現の不自由展、その後』の抽選に向かいます。「スタッフ」と首から下げた人に聞いたりしながらリストバンドをはめてもらいました。スタッフの人も「運動家っぽかったらちょっと……」と思っていたのですがそんな感じではありませんでした。

抽選発表の時間まで40分くらいあるので、それまで展示(国際現代美術展)を見に行くことにしました。色々な作品を見てみました。

結論から言うとアートって楽しい。そんな想いを抱きました。

愛知芸術文化センターに掲げられたキャッチコピー

僕が目を引かれた作品は二つありました。一つは、ビジネスマン風の男女か六人くらい、1時間ずっと笑い続けている動画です(アンナ・ヴイットさん作品)。何で笑い続けているのかわかりませんが、とにかく笑い続けています。妙に気になりました。一時間、動画の前に居たいくらいでした。

また、ピエロが広い空間の中で何対もいる作品がありました(ウーゴ・ロンティーノさん作品)。人間が一日のうちで、どういう格好をするのかを表現しているのだと言います。そのピエロが本物の人間のように見えて、大道芸人のサイレントパフォーマンスなのかなと思うくらいでした。結果、不思議な情景を産み出していました。まるで、スタンリー・キューブリックの世界に迷いこんだかのような気持ちになりました。

気持ち悪いような良いような、胸がモワモワする何とも言えない感じになりました。それでいてずっとこの部屋にいたいような気持になりました。例えて言えば、頭のマッサージ器具がぞわぞわっとして、初めは気持ち悪いけど次第に病みつきになる、という感じでしょうか。

他にも色々あったのですが、興味深いものばかりでした。時間があればじっくり見ていたかったです。アーティストの「表現をしたい」という欲求は止められないんだなと、作品を観ながらながらぼんやりと感じていました。

その流れからの『表現の不自由展、その後』。そろそろ抽選発表の時間です。抽選場所には多数との人が集まっています。抽選に当たった事がない僕は期待してなかったのですが……。