違法薬物事件は本当に「被害者のいない犯罪」なのか? 法廷で自分の子どもに厳しい言葉を投げかけた母親の声

逮捕後、勾留された彼は面会に来た母親に保釈請求をしてくれるように懇願しました。

逮捕されたことで経営していたバーはしばらく休むことになり、その後スタッフが営業を再開してくれたものの売上があまりかんばしくないと聞かされたからです。

「早く店に出て働きたい」

そう言い募る息子の願いを母親は拒絶しました。結果、逮捕から裁判までの2ヶ月あまりの間、彼はずっと勾留されたままでした。証人として出廷した母親はその理由を次のように話しました

「面会した時に『すぐ出て働きたい』と言う被告人を見て『この状況についてなにか思い違いをしてるんじゃないか』と思いました。クスリを抜くため、というのもありますが、1日でも長く勾留された方が被告人のためになると思いました」

時折涙声になりながらもまっすぐ裁判官を見据え、自分の息子を名前でなく「被告人」と呼んだ母親の言葉を被告人席で彼はどのように聞いていたのでしょうか。

弁護人から、

「息子さんに対して今何を言いたいですか」

と差し向けられると、彼女は少し間を置いてから語り始めました。

「被告人は面会の時『自分もそれなりに充実して楽しんでいたんだから』と言ってました。人生は楽しければ充実している、それは子どもの考えです。人生は、オモチャじゃない。大人は苦しい中で、それでも生きて充実や幸せを見つけます。そうやって生きていく。ストレス解消で覚醒剤に手を出した、とも言っていました。ストレスは解消すればいいってものではないです。ストレスと向き合って、原因を考えて、乗り越える強さを持ってほしい」

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