渡辺謙、真田広之、赤西仁…だけではなかった 日本で8年間、役者として日の目を見なかった俳優がアメリカへ渡り成功|前編

日本の芸能界にもどかしさを感じて――

「ユニオン(組合)によって労働時間が決められているということは制作側にとってもとても大変なことです。時間内に予算内で物作りをしなくてはならない。おのずと無駄な時間を過ごすことが出来ないわけですから効率が上がる、そのためには優秀な人材を使わなくてはならない。作品として良いことしか起きないわけです。

現場によっては撮っているその場で編集ブースがあり同時に編集しているプロダクションもあります。日本でも新しいユニオンを作ろうとしている動きがあるそうですが素晴らしいことだと思います。俳優や制作部の環境が整って安全が保たれる。本来取るべき人が報酬をフェアに受け取るという環境ができればモチベーションも上がるでしょうし、パフォーミングアーツの位置やグレードがまた一つ上がって行くのだと思います。

勿論日本にはたくさんの素晴らしい俳優や監督、スタッフの方々がいるのでその才能が発揮できる環境が整っているところもあると思いますがそれは一部で眠っている宝がたくさんあると思います」(竹嶋さん)

 

小さな頃から演劇に興味を持ち、外国という未知の世界に憧れを持っていた幼少期。アメリカ映画を観まくって育った少年期。持ち前の運動神経で特待生としてサッカーで高校に入り全国大会出場し、20代の前半にはオーストラリアでプロのラフティングインストラクターとして活躍し、日本代表として世界大会にも出場した経験をもつアスリートは帰国後8年間、日本の芸能プロダクションに所属したものの、日本の芸能界にもどかしさを感じて、渡米して15年。

「オーディションにしろ、現場にしろ英語の言い回しをできるだけネイティブに近づけるために、毎回、台詞を貰うたびに専属のスピーチコーチにお金を払ってトレーニングをしてもらいます」(竹嶋さん)

テレビの仕事は前日にオーディションの台詞を貰うことも多く、その場で台詞が変わることも多々有るため臨機応変な対応ができることが求められます。これまでアメリカだけでなく日本、中国、インドネシア、インド、タイ、シンガポール、ブラジルなどのプロダクションと仕事をしてきた経験から、やはりアメリカの現場は労働環境が守られているので自分のパフォーマンスが最大限に発揮できる環境があるそうです。(文◎野島茂朗)

 

後編に続きます