オレらが日本になぜ絶望したか 第二次ベビーブーマーを見捨てた政権を忘れない 全てが遅い「就職氷河期世代」対策|中川淳一郎

30年近く時給は上がっていない

正直、私自身はこの苛烈なる競争世代においては「勝ち組」だと思う。それは単に僥倖だっただけであり、自分だってそうではない状態になった可能性はかなり高いからだ。ちょっとした運命の歯車により「勝ち組」方向に行けたが、これだけ人数の多い第二次ベビーブーマー世代を見殺しにした何代もの政権は、今こそ反省すべきだろう。

 

完全に我々の世代は絶望している人々が多い。元々我々は父親が「頑張れば頑張るだけ給料もらえるよ!」的に言っていた世代だ。そして、高校時代、少し上の大学生たちがバブル景気をもとにディスコでフィーバーイェーイェー的なことをやっている様を遠巻きに眺めていた。

 

それがオレらにも来るのかな~、楽しみだなぁ~なんて思っていたらバブルが崩壊。その後はバイト求人誌をいかに早く手に入れるかの勝負となり、時給900円超の仕事をいち早くGETできるヤツが「勝ち組」となった。

 

これが1994年頃の話である。

 

こうした経験を経て、今の日本を考えると、実は時給はさほど変わっていない。えっ? 26年後でも1000円行っていればすごいの? 的だ。

 

1990年代前半、学生になった我々は「日本は先進国の中でも幸せで時給が高い国。イギリスなんて衰退国」みたいな言説を述べていたが、多分これはもう違う。オレらはもうヤバい状態にある。

 

間違いなく今の日本は私が大学生だった1993年~1997年と比べて「質は上がったが支払う額は少ない」状態だ。それは、とにかく低価格と「コスパ」を求める大衆が作り上げたクソ文化である、と思う。いい加減に「コスパ信仰」から逃れなくては我々は貧乏まっしぐらだぞこの野郎。(文◎中川淳一郎 連載『俺の平成史』)

 

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